その距離50センチ 2 あきつく
計算か?
なんて考えた事もあるぐらい、色っぽい表情だ。
牧野に、計算なんて出来たら、俺の片思いも何とかなってるよな?
ふぅーっ。
計算とか、駆け引きとか出来るくらいの女なら、俺も救われたのになぁと思い、牧野を見る。
きょとんとした表情で、俺を見る牧野は、小さな女の子のようで、すげぇ可愛い。
いやいやいや、俺にその手の趣味はない。
俺はこう、しっとりとした大人の女が、好きな筈なんだ‥‥
「美作さん、今日はどこ行く?呑んべぇ横丁でも行ってみる?それとも、坦々麺でも行ってみる?」
ムードの、ムの字もないような店屋を羅列する。
「俺、味噌煮込みうどんが食いたいなぁ」
俺の返答だって、ムードのムの字もないけどな。
「うーん、って言うと、総本家でも行く?」
「山本屋か?」
「人形町の方ね。おでんと牛筋も美味しいしさぁー、シェアしようよ」
で、決まった夕飯が、味噌煮込みうどん。二人で店を出て、地下鉄に乗る。
電車に揺られ、何気ない会話を楽しむ。
牧野の顔は、百面相みたいにクルクルクルクル目まぐるしく変わる。
膨らんだり、笑ったり、良く変わる。
顔の表情を見てるだけで、飽きねぇなぁ。
「でね、でね、新人さんが入って来てね、今年は、教育係。」
「入社4年目突入だっけ?」
ブンブン首を振っている。
「相変わらず、社長のお伴?大変じゃねぇ?あの人のお守りって?」
「お守り?あははっ、うちの社長はやり手だよ。」
牧野の勤める会社は、俺の伯母の会社。
こいつ就職するとき、コネ入社を避けたいとか何とか言って、
見つけて来たのが、今の会社で、蓋を開けてみたら、俺のお袋の姉貴の希美伯母さんの会社だったてワケだ。
関東じゃまだまだの会社だが、関西方面じゃ、かなりの大手の会社だ。
多分だが、お袋辺りが,さりげなく会話の中に織り込んでいって、潜在意識にでも埋め込んだんだろう。
「そう言えば一昨日、夢子さんにお会いしたよ〜 あっ、ツムルの券貰ったんだった。味噌煮込みのあとは、ツムルに行く?良かった〜思い出して、なんかさ得した気分だね」
ツムルなら、券なんてなくたって‥そう言いかけて、止めといた。代わりに
「すげぇ得した気分だな」
「うん」
ガタンゴトン、もうじき目的の駅に着く。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
- 関連記事