その距離50センチ 3 あきつく
「うーーん っまい♪」
本当に幸せそうに味噌煮込みうどんを食べる牧野。
色気ねぇーな、と苦笑しつつ
そんな牧野に色気を感じてるもう一人の俺が居る
首筋に、汗がツツッーと流れる。
ゾクゾクするほどに、色っぽさを感じて、慌てて首をふる。
「美作さん、この牛スジ最高だよーホラッ」
なんて言いながら、食べさせようとするのが照れくさくて
「ホラッ汗‥‥」
ハンカチを渡す。
えへへっ、と笑いながらハンカチで汗を拭く。
「ありがとう。洗って返すね」
いや、そのままで‥‥とは言っちゃいけないか?
なんて事を、一瞬考えて、俺‥もしや、ヤバい奴かも
これだから、家に帰るとボロクソに言われるんだな。
牧野が大好きな双子は、牧野に会った次の日の朝食は、
ワクワクしながら待ち受けている。
根掘り葉掘り、どこで会っただ,何しただ、何食べただ、何話しただを散々聞いてきて、挙げ句の果てに‥
「お兄様、随分と情けないですわね」と、話しを終える。
お袋に至っては
「あきら君、もう少ししっかりしてると思ってましたけど‥」
なんて言いつつ、聞こえるようにデカイデカイ溜め息を付く。
親父までもが
「朝帰りだって構わんのだぞ」
そんな事を言い、お袋から嗜め‥‥いいや「流石、パパ」なんて言われてやがる。
ふぅっー 明日の朝も、情けないあきら君決定か。ははっ
『ありがとうございます。4380円になります。』
「ご馳走さまです。美味しかったです」
会計をしながら美味しかったと、店の者に礼を言う。
毎度の事ながら、気持ちがいい女だと感心する。
俺の付き合って来た女の中にこんな女いなかったよな。
双子達も、影響を受けたんだろう食事の後、きちんと礼を言う。
お陰でシェフのやる気が半端ない。これも牧野効果ってやつだ。
2人並んで、店を出る
「ご馳走さま」今日は、牧野の奢りの日だ。
ニコニコ笑って
「苦しゅうない~」なんて戯けて口にしている。
俺は、牧野が可愛すぎて苦しいけどな。なんて恥ずかしいセリフを心ん中で一人呟く。
「美作さんは、もうツムルには行ったの?」
「行ったもなにも、美作が手がけたんだよ」
「えぇーー、凄い凄い」
他愛もない会話をする幸せ。
途中のウィンドウの前で、牧野の足が、一瞬止まった。
ウィンドウの中には、サントリーのブルーローズが飾られている最中だ。
自然界にはない色。品種改良を重ね,最新の技術によって作られた色。
「綺麗だね」ぽつりと呟いた牧野の横顔の方が、俺には綺麗に見えた。
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