その距離50センチ 5 あきつく
最初は、週2回の約束だった。
それがいつの間にか週3回になったのは、これまた親父の手腕。
親父株一気に高沸騰だったけよな。
きっかけは、双子の成績が急上昇した事と、2人切りの世界になりがちなあいつ等が、目を広げ、それぞれがそれぞれに新しい世界や、新しい友人を見つけた事。
あいつ等2人、牧野を自慢したいもんだから、友達を連れて来る来る。
絵夢も芽夢もそのまた友達達も、牧野が大スキで、週3回の内の1回は、集団授業みたいになってったっけな。
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「ねぇねぇ、美作さん」
「っん?」
「芽夢ちゃんの友達のルカちゃん居るでしょ?わかる?」
「三井所物産のお嬢さんだろ?」
「そうそう。そのルカちゃん。この前ね、三井所物産に、社長とお伺いした時にね、たまたまルカちゃんが遊びに来ててね」
「あぁ、ルカちゃん大興奮だったんじゃないの?」
「うん。凄く喜んでくれて、今度の三井所のパーティーにお呼ばれしたんだけど‥‥」
「社長と?」
「そうなんだけど。そうなんだけど‥」
「っん?」
牧野が、モジモジしながら‥
「嫌じゃなければなんだけど‥」
「っん?大概の事は嫌じゃないと思うけど?」
「あのね、あのね、じゃぁ、パーティーのエスコート役をお願い出来ないかな〜と思って」
お安い御用っていうよりも、是非是非だ。
「姫様、喜んで」
満面の笑みで牧野が微笑んだ。
待ち合わせの時間を決めて、お互いに着ていく衣装の打ち合わせをしながら歩いていると,ツムルにあっという間に着いた。
ツムルは、美作でプロデュースした、ちょっぴり大人の居酒屋。
何を隠そう、牧野に初めて、恋心を感じた月をイメージした店だ。
ツムル‥目を瞑るとあの日を思い出す。そんな思いを込めて、付けた名前だ。
まるで、いま考えてた事を見透かされたように
「ねぇ、なんでツムルなの?なんか意味あり?」
「語感かな?」
「へぇ〜確かに、忘れられない良い名前だもんね」
真面目な顔して頷いている。
あぁ、目を瞑ると色々な牧野が俺の心に浮かぶよ‥
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