Tea for Two 28 司つく
俺は、大仰に頷く。
牧野が部屋を出て行く。
俺は、隠し扉から外へ出て、階段を駆け上がる。眼鏡をかけて髪を崩す。
息せき切って、階段を昇る。
「司さん‥こんにちは」
牧野の声がして、俺は振り向く。ちょっぴり目の赤い牧野が立っている。
って?お前どうした?なんで目が赤いんだ?
なんか嫌な事でもあったか?なぁ、腹いてぇのか?
なぁ、どうした??
「目‥どうした?」
「あっ、花粉症で‥」
そんなん初耳だぞ。違うだろうよ‥なぁどうしたよ。
「久しぶりだった‥よな‥」
「ですね‥」
静寂の時間が流れる‥
空の会話も出やしねぇほど‥
沈黙を破ったのは‥牧野
「司さん‥好きでした」
やっぱり牧野は、司さんの事が‥っん?っん?っん?
好き‥でした? でした‥って、言ったか今?
でした‥って、なんだ。
「って、告白なんて迷惑ですよね。しかも過去形なんて‥あはっ‥ごめんなさい。でも、あたしの初めての憧れの人だから‥ちゃんと言いたくて‥」
「いや‥嬉しいよ‥ありがとう‥」
あぁ、本当に嬉しいよ。だけどだ、だけど‥過去形??
「だったら、良かったです。やっぱり、司さんは憧れの王子様です。」
牧野が、空を見上げる。俺も一緒に空を見る
「快晴ですねー。ふふっ、あたしこの前、月火木金土 を見たんですよぉー」
あぁ、一緒に見たよな
「へぇ、すげぇな。綺麗だったか?」
「ぇぇーとっても。凄—く綺麗で‥そう言えば、司さんがその時、夢に出て来たんですよぉー」
可笑しそうにケラケラ笑う。
久しぶりに見る牧野の笑顔‥ ずっと見ていてぇぐれぇ幸せだ。
無意識に俺は聞いていた。
「なんで‥過去形で告白?」
「えへへっ」
俺の惚れた女が、涙目になってやがる。
「ど、ど。どうした?平気か?」
「あたし、実は‥好きな人が出来たんです」
はぁっーーー??? なんだ、なんだ好きな野郎が出来た?
なんだ、なんだ‥それって‥誰だよ
俺は、平静さを装い
「へぇー、誰?教えてみろよ」
「いくら、司さんでもナイショですよーだ」
「教えろよ‥俺、牧野の憧れの王子様なんだろう?」
「うーーん」
「ケチしねぇで、教えろよ」
「いや、別にケチしてるワケじゃないんです‥ただ、迷惑かかったら困るから‥」
俺の惚れた女が、小ちゃく笑う
じゃぁ、お前の元気がない理由‥道明寺司を邪険にする理由。
全部教えてみろよ。なぁ牧野‥
「牧野が好きな奴に?」
「あっ、はい‥司さん‥出来たら、これからも相談に乗って貰えますか?」
真摯な表情で聞いてくる。
俺? 俺頷くしかねぇよな。
って、司さんも‥相談相手かよ?俺って、とことんダメってワケか?
ハァッー
俺の心は、土砂降りだけど‥‥
空は、相変わらず快晴だ。
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