小っこいの 新しい世界 司つく
ったったか、タタッカ‥ 小っこいのが走って来る音がする。
扉が大きな音をたて、開く。
いったん、止まって‥助走を付けて、ベッドに飛び込んで来るつもりだ。
レディにはほど遠いな‥ 俺はそんな事を考えながらバスルームで顔を洗ってた。
ってか、あいつ‥ あんなんして助走付けてたんだな。
この所、飛び込みが痛てぇ筈だ。
ボスッ
「ありぇ〜 ありぇ〜 おーたん いましぇん」
バスルームから顔を出す。
「結、おはよう」
「おーたん、かくれんぼ でしゅか?」
いやいや、朝から 隠れんぼう は、しねぇよ。
「おーたん、あしゃごはんでしゅよ」
「あぁ、いま行く」
小っこいのを抱き上げて、いつも通りファミリーダイニングに向かおうとしたら‥
「あっ、おおきいおへやでしゅって」
っん?朝からなんだ?
ドアの前に来ると、小っこいのが、
「おーたん、おろしてくだしゃい」
言われた通り、小っこいのを廊下に降ろす
スカートを、整えて‥澄ました顔して、食堂のドアを開ける。
そこに居たのは‥
ババァに、親父、類、あきら、総二郎、滋、桜子‥
皆揃って、美味そうに飯をくってやがる。
つくしが、珈琲を持ちながら、俺に座れと指示を出す。
「みんなも、英徳の入園式に招待されてるんだって」
あははっと笑ってやがる‥
総二郎は、日本伝統をうんちゃらで招待。
類とあきらも元々の招待で、滋に桜子は、名代で出席だと抜かしやがる
ってか、お前等そんなん今まで、出席した事なんてねぇだろうよ。
俺が言えば、
「っん?未来を担う若手育成だよー」
「茶道を習いに来る子供達を増やさないとな」
「将来の勉強、勉強」
「えぇ、そうですわ」
常識人のあきらを見れば‥
「あっ、双子とお袋も後で見に来るって」
何が、哀しくて‥‥
こんな大所帯で、可愛い我が子の晴れ舞台に出席するんだ
ってか、お前等、暇なのか?なぁ、暇なのか?
「しゅごいでしゅねぇー」
まぁ、小っこいのは嬉しそうだ‥しゃぁねよな。
ゾロゾロゾロゾロ‥‥桜の舞い降りて来る中を歩く。
つくしが、小ちぇ声で
「大名行列みたいだね」なんて囁いて来る。
ホントだよな。
ったくよぉー‥ぜってぇーあいつ等、暇なんだな。
「新入園生は、こちらにお並び下さーい」
先公達が、大声で言ってやがる。
小っこいのは、不安気に、俺とつくしの顔を見上げて来る。
前から声がする。
「あっ、ゆいちゃーん」
「すずちゃーん」
俺等の手を振りほどき、鈴ちゃんに向かって走って行く。
それが、頼もしくもあり、寂しくもあり‥
やべっ、ちょっとウルっと来ちまった。
「まだ早いよ」
だけどよぉ、そう言うつくしの目も、なんだか赤くなってねぇか?
感傷に浸っていると‥‥
「おはようございます」
爽やかに、晴れやかに‥天敵桐人が声をかけてくる。
「おめっ、学校はどうした?」
「幼稚舎のお手伝いです。初等部の代表なんです」
しれっと、言いやがる
「桐人君って、本当に優秀なんですのね〜」
桜子が、余計な事を言い、
「やっぱり、王子様とお姫様だよねぇ」
なんて、もっと余計な事を、滋が抜かしやがる。
キリキリする俺をみて、類達が笑ってやがる。
***
入園式が始まる‥
俺等と離れて座る小っこいの。
制服着た姿が、やけにお姉ちゃんに見えやがる。
「道明寺結さん」
「はい。」
大きな声の返事を聞いて、嬉しくて嬉しくて‥
やべっ、涙が出てきそうだ。
つくしの手が、俺の手を握る。つくしを見ると、鼻を真っ赤にして、涙腺崩壊中だ。
ついでに、ババァを見ると‥ 鬼の目に涙‥鉄の女が泣いてやがる。
ババァの、お袋の嬉し涙を見るの、何度目だろうな?
俺等の結婚式を皮切りに、お袋は何度も涙する。
俺の寂しかった小ちぇ頃が、溶けていく。
式典が終わる。
「おーたん、あーたん」
小っこいのが、大きな花咲く笑顔で、俺等の所に戻って来る。
「結、入園おめでとう。カッコ良かったぞ」
小っこいのの、笑顔が溢れて零れ出す。
出会いの桜が舞っている。
*新入園、新入学の皆様 おめでとうございます。
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