Tea for Two 31 司つく
時を操る魔王なんっつーのが現れて、この嬉しい時間を伸ばしてくれりゃーいいのによぉ− そう言うわけにも、いかねぇようで‥本社前に、あっという間に到着しやがる。
俺の後ろを、小走りで付いてきやがる。あんまり可愛らしくて、歩幅をわざと大きくして歩く。
チョコマカついてくる姿が、マジ可愛い。
ってか、何やってもても可愛いんだけどな。
歩幅を緩める‥牧野がゆっくり歩けるように
ボフッ‥ 牧野が俺に突っ込んで来る。
ふわんっと良い香りがして、牧野の柔らかい身体が俺に触れる。
ゲッ、な、な、なんだ‥この感触は‥
ヤバっ‥し、し、静まれ俺‥ って、俺‥中坊か?
突然止まった俺の動きに、牧野が反応する。
「専務‥道明寺専務どうされましたか?お腹でも痛いですか?」
いや、痛てぇのは、もうちこっと下んとこだ‥なんて、エロイことは口が裂けても言えねぇ。
牧野が心配して、俺に触れようとする。
やっ、ヤバいって‥‥俺は、慌てて、牧野の手を振り払う。
「‥‥‥す、す、す、すみません‥」
ち、ち、違うんだ‥ 心の声も虚しく、牧野が必死こいて謝る。
ヒュルリッ‥ 風が吹く。お陰で‥興奮は静まった。
だが‥いけねぇ、全くもっていけねぇ状況に陥っている。
車の中の勢いが、無くなり‥今にも泣きそうな風情になっている。
「牧野‥」俺の言葉は、空を切る。
会話が無いまま、ババァの所に行く。
ババァに、会えるのが楽しみと、嬉々として言っていたお前の瞳が曇ってる。
俺が,牧野の手振り払ったせいだよな?
‥‥‥‥っん? 俺がコイツの手を振り払って‥なんで落ち込む?
‥‥‥‥っん? 出よ司さんと、牧野の会話を思い出す。
コイツの好きな男の話しを‥
って、って、って、って、って‥‥‥‥‥‥‥‥‥
それって、もしやだが、俺か?
「なぁ、牧野」
「あっ、はい」
「俺、三白眼ってやつか?」
「はぁっ?」
「はぁっ?じゃなくて、俺って三白眼か?」
「まぁ、そうですね」
「俺の声はバリトンか?」
「専務、どうしたんですか?食べ過ぎですか?」
おめぇじゃねぇよ。食べ過ぎなんかしねぇよ
「いい匂いすっか?」
「はぁぁ、まぁ‥」
ニヤニヤが止まらねぇ‥‥
「俺って、完璧か?ギリシャ神話の彫刻みてぇか?」
「はぁぁ?何言ってるんですか?」
「あんっ?質問してるんだ」
「ぷぷっ、自分で自分を完璧か?ギリシャ神話の彫刻かって、アリエナイっつーの」
クスクスクスクス、アハアハ笑う。
笑いが止まらなくなったのか、身体を2つに折って腹抱えながら笑ってやがる。
っく、く、苦しぃーー なんて、いいながら牧野が笑う。
オイッ、全部お前が、司さんに語ってだろうよ。
なんだか、俺も可笑しくなって腹を抱えて笑う。
そうか、そうか‥ コイツの好きな男って‥俺なんだ。
俺は、嬉しくなって、ケタケタ、グハグハ笑う。
浮かれ気分とは、反対に俺は頭の端っこで考える。
コイツが、俺を避ける態度の原因を‥
でっけぇ、仕事に取りかかる前の高揚感が、襲ってくる。
なぁ牧野、俺決めたわ! お前を嫁さんにするって‥
知ってか?俺、狙った獲物はゼッテェ−に手に入れるんだぞ
ククッ、覚悟しろよ
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