その距離50センチ 15 あきつく
愛する男(ひと)の髪に触れる。そぉっとそぉっと起さないように。
そして、思い出すあの日の事を。
* **
「つくしちゃん、今日はちょっと私に付き合ってくれる。」
そう連絡を受けたのは、双子ちゃん達が修学旅行で海外に行っていたときだった。
「つくしちゃーん」
待ち合わせの場所にやってきた夢子さんは、いつもとは違う、タイトなスーツに身を包んでいた。
その足で連れて行かれたのが、夢子さんが自ら社長を勤める会社。ローズドリーム だった。
「ねぇ、うちに入社しない?」
いつものふわふわした感じではなく、聞かれた。いつものようにふわふわした夢子さんなら、あたしは、笑いながら、ノーを即答出来ただろう。
あたしは「ごめんなさい」の言葉と共に一粒涙を零してしまった。
夢子さんがあたしの肩を抱き寄せ
「じゃぁつくしちゃん、ここを受けて頂戴」
有無を言わせない強い口調と共に、渡されたのがフォレストの会社案内だった。
「ここは?」
「これから行く所で説明するわ」
そう言って。夢子さんに連れて行かれたのは、朝子さんが住むマンションだった。
「こんにちは、牧野つくしです」
「やっとお会い出来たわね。あきらの祖母の美作朝子よ。よろしくね」
美作さんに良く似た、柔らかな微笑みをもつ朝子さん。
一目で好きになった。
朝子さんがフォレストについて説明してくれた。
フォレストは、夢子さんの実姉の沼田希美さんの会社。
だけど、実情は‥MIMASAKAの頭脳を担う者達の育成。
「沼田商事もMIMASAKAの傘下ですからね」
そうニッコリ美しい笑顔で微笑んで、フォレストには、縁故は通用しないの。全て実力主義で、それを理解しているものしか入社出来ないし、させない。そうきっぱりと、おしゃった。
「うふっ、どうかしら?それとも怖じ気付いた?」
柔和な笑顔が、冷たく笑う。
冷笑を見た時に、受けて立つ。そう思った。
あははっ、今ならわかる。朝子さんの冷笑も全てが策略だったのだと。
あたしは、フォレストを受けた。最終面接は、希美社長と朝子さんの2人だった。
希美社長とは、この時初めてお会いしたんだっけ。
「あなたが、牧野つくしさん?うふふっ、そうなのね」
夢子さんと良く似た可憐で美しい人だった。あたしの資料を捲りながら
「ここまでの結果、あなたトップ入社になりそうなのだけど?そうなったら私の下で働く事になるけれど良いかしら?」
隣で、朝子さんが嬉し気に、楽し気に微笑んで
「その前に、お聞きしないと‥」希美社長を促す
希美社長は、一つ微笑んで
「あなたが、我が社に入りたいと思ったのは何故かしら?模範解答ではなく本音を教えて下さる」
真っ直ぐな瞳で、希美社長が、朝子さんがあたしを見る。
あまりにも真っ直ぐな瞳で見られて
「好きな人がいるんです。その人と対等になりたいんです」
そう口走っていた。
希美社長も、朝子さんも口をあんぐりと開けた後‥大笑いをして‥
仕方が無いので‥あたしも笑った‥笑う内になんだか可笑しくなって。
この人の元で働きたいと心から望んだ。
「4月からよろしくね」
右手を差し出され、希美社長と握手を交わした。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
そして、思い出すあの日の事を。
* **
「つくしちゃん、今日はちょっと私に付き合ってくれる。」
そう連絡を受けたのは、双子ちゃん達が修学旅行で海外に行っていたときだった。
「つくしちゃーん」
待ち合わせの場所にやってきた夢子さんは、いつもとは違う、タイトなスーツに身を包んでいた。
その足で連れて行かれたのが、夢子さんが自ら社長を勤める会社。ローズドリーム だった。
「ねぇ、うちに入社しない?」
いつものふわふわした感じではなく、聞かれた。いつものようにふわふわした夢子さんなら、あたしは、笑いながら、ノーを即答出来ただろう。
あたしは「ごめんなさい」の言葉と共に一粒涙を零してしまった。
夢子さんがあたしの肩を抱き寄せ
「じゃぁつくしちゃん、ここを受けて頂戴」
有無を言わせない強い口調と共に、渡されたのがフォレストの会社案内だった。
「ここは?」
「これから行く所で説明するわ」
そう言って。夢子さんに連れて行かれたのは、朝子さんが住むマンションだった。
「こんにちは、牧野つくしです」
「やっとお会い出来たわね。あきらの祖母の美作朝子よ。よろしくね」
美作さんに良く似た、柔らかな微笑みをもつ朝子さん。
一目で好きになった。
朝子さんがフォレストについて説明してくれた。
フォレストは、夢子さんの実姉の沼田希美さんの会社。
だけど、実情は‥MIMASAKAの頭脳を担う者達の育成。
「沼田商事もMIMASAKAの傘下ですからね」
そうニッコリ美しい笑顔で微笑んで、フォレストには、縁故は通用しないの。全て実力主義で、それを理解しているものしか入社出来ないし、させない。そうきっぱりと、おしゃった。
「うふっ、どうかしら?それとも怖じ気付いた?」
柔和な笑顔が、冷たく笑う。
冷笑を見た時に、受けて立つ。そう思った。
あははっ、今ならわかる。朝子さんの冷笑も全てが策略だったのだと。
あたしは、フォレストを受けた。最終面接は、希美社長と朝子さんの2人だった。
希美社長とは、この時初めてお会いしたんだっけ。
「あなたが、牧野つくしさん?うふふっ、そうなのね」
夢子さんと良く似た可憐で美しい人だった。あたしの資料を捲りながら
「ここまでの結果、あなたトップ入社になりそうなのだけど?そうなったら私の下で働く事になるけれど良いかしら?」
隣で、朝子さんが嬉し気に、楽し気に微笑んで
「その前に、お聞きしないと‥」希美社長を促す
希美社長は、一つ微笑んで
「あなたが、我が社に入りたいと思ったのは何故かしら?模範解答ではなく本音を教えて下さる」
真っ直ぐな瞳で、希美社長が、朝子さんがあたしを見る。
あまりにも真っ直ぐな瞳で見られて
「好きな人がいるんです。その人と対等になりたいんです」
そう口走っていた。
希美社長も、朝子さんも口をあんぐりと開けた後‥大笑いをして‥
仕方が無いので‥あたしも笑った‥笑う内になんだか可笑しくなって。
この人の元で働きたいと心から望んだ。
「4月からよろしくね」
右手を差し出され、希美社長と握手を交わした。
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