その距離50センチ 18 あきつく
牧野の香りが、鼻腔を刺激する。
爽やかなのに、甘い。甘いのに凛としてる‥そんなアプローズの薫り方。
牧野が、フレグランスを身に纏うようになったのは何時だっただろう?
フォレストの新人歓迎会の後だったけかな?
ドキッとした、色っぽい香りに。
ドキッとした、男が出来たんじゃないかと。
アプローズの香りは、ユニセックスで‥
実は俺も使ってる。バレないように、他の香りも薫らせて‥
って、俺‥ヤバい奴みたいだ。
あははっ、ヘタレでヤバい奴‥
はぁっー そろそろ卒業しないとな。
まぁそれはそれとして、今日は美作の家に連れ帰ろう‥
「あきら様、牧野様 到着致しました。」
2人で、顔を見合わせて
「「ここどこ?」」
運転手の村松が、2人宛の手紙を差し出しながら
「朝子会長が、こちらに送り届けるようにと‥」
婆ちゃんのマンションから歩いて5分の物件だ。
中に書かれていたのは
部屋番号とカードキー、それに‥頑張れ‥の文字‥
2人で、顔を見合わせる。なんだか気まずい雰囲気だ。
って、部屋番号一つ??
俺が躊躇ってると
牧野が小ちゃな声で耳許に囁く
「‥美作さん‥村松さん、今日お子さんのお誕生日みたいなの。だからとりあえず車から降りない?」
「あぁ」
2人で車から降りる。降りる間際‥牧野が村松に紙袋を渡している。
「あきら様、牧野様、大変ありがとうございます」
嬉しそうに頭を下げて来る
牧野を見ると、取りあえず頷けの表情。
「あぁ‥こちらこそいつも有り難うございます」
車を見送った後
「ごめんね。先に言っておこうと思ってたのに忘れちゃって‥」
謝りながら、先ほどの紙袋は、村松の息子への誕生日プレゼントだと教えてくれる。
「村松さんは、いつも美作さんの安全を作ってくれる大切なひとだからね」
そう言って笑う。
俺、錯覚しそうだ。お前が俺を好きなんじゃないかって‥
こうしていても仕方がないと言う事で‥
マンションの受け付けで、部屋番号と名前を名乗ると
「お伺いしております」コンシェルジュが案内をしてくれる。
カードキーを使って、部屋に入る。2人分の生体認証を登録する。
取りあえず、お茶を飲もうと言う事になって‥テーブルを見れば‥
テーブルの上には、98年産のラ・ターシュが置かれている。
2人揃って、ゴクリッと喉が鳴る。
メモには、おつまみは冷蔵庫に入れてありますと書かれている。
冷蔵庫の中のものを、テーブルに並べ‥2人でプチ宴会だ。
疲れのせいか?牧野のせいか?ほろ酔い気分だ。
牧野を見れば、目がとろんとろん状態だ。
あんまりにも色っぽくて‥思わず手を伸ばして抱き締めていた。
牧野が、女神のようにニッコリと微笑んだ‥‥
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