ある日の出来事 by Gipskräuterさま
「ねぇ総。早く行こうよ。」
「ああ、ちょっと待てって。今手配してっから。」
「もー!きっとみんな待ってるよ。」
「分かってるって。」
今日のための手配を済ませてつくしの待つ玄関に向かった。もう待ちきれないと言わんばかりに、大きな瞳をキラキラさせて俺を待つつくしに流し目を送った。
「そんなに楽しみなんだ?」
「そうだよー。だから早く行こっ?」
頬を染めながらも、なんか俺よりこれからのことに気をとられてるつくしを見て正直イラッとする。けど今日の用事を思えばしかたねぇのか?
そう無理やり自分を納得させて目的地に車を走らせた。
着いた先はいつものメープル。
部屋に入ればそこにはいつもと変わんねぇメンツが揃っている。
「総二郎、おせーぞっ!」
「ああ、わりぃ。第一弾は手配済みだぜ。」
「つくしー!元気だった?」
「おい、滋。抱きつくんじゃねぇ。」
つくしに飛びかかろうとする滋から庇うように、つくしを背後に隠した。
「ニッシーのケチッ!」
ケチってなんだよ?
言い返そうとした時、奥からあきらの声が響く。
「おいおい、来て早々何騒いでるんだよ?早く始めようぜ?こっち来いよ。」
あきらに呼ばれて中に入ればそこにはセッティング済みのカメラ。これには流石としか言いようがねぇ。
「花沢さん、起きてください。はじめますわよ?」
声をかけられてるってのに、何の反応も示さねぇ類。そしてそんな類にニヤリと笑う桜子。
「花沢さん。センパイがいらっしゃいましたわ。」
その言葉を受けてムクリと起き上がり、つくしの元に歩みよる類を見ているとため息しか出てこねぇ。
「じゃあ始めるか?」
こういう場をあきらが仕切るのはいつもの事。けど、いつになく乗り気に見えるのは気のせいか?
「どうすりゃいーんだ?」
特にこれといって打ち合わせなんかしちゃいねぇ。当然と言えば当然な司の疑問。
「いつもあいつのところでやってるような感じでいいんじゃね?」
「総、あいつってそんな言い方…。」
「おいっ。いつもってなんだよ!俺様は知らねぇぞっ!」
「牧野。どうせ今に始まった事じゃないでしょ?言ったところで無駄だよ。総二郎こんなだとそのうち下ろされちゃうかもね。そしたら俺が後を引き継ぐからね。」
「いや、そうなった時は俺の出番だろ?」
「何言ってんだ、俺様に決まってんだろーが!」
クソッ。こいつら言いたい放題言いやがって!
「あきら、始めるんだろ?とっととやろうぜ。」
これ以上放っておくと何を言い出すか分かんねぇ。文句を飲み込んで声をかければ、あきらはカメラをセットして戻ってきた。
それを合図に全員が顔を見合わせる。
「「「「「「「asuhanaさん!ブログ開設半年、おめでとうございます!」」」」」」」
「つーか、もう半年も経つのか?」
「まだ半年しか経ってなかったの?」
「そうだよね。いろんなお話書いてもらったもんね~!」
「せっかくですから、この機会にいろいろお願いしておいた方がよろしいのでは?」
「asuhanaさ~ん、滋ちゃんはね~」
「おっ、それもそーだな。もっと俺様の話増やせよ。」
「俺とつくしの話の方がいいに決まってるじゃん。」
「えっと、あの」
「お前らの部屋はたくさんあるじゃないか。asuhanaさん、俺の部屋少ないんで俺の話お願いします!」
「それを言うなら俺の部屋だって少ねぇぞ。」
「あのね、滋ちゃんは」
「バカかお前ら。こーゆーのは人気順に決まってんだろーが!」
「そういう事なら俺だって負けてないよ。」
「あーもーうるさい!!こんなんじゃasuhanaさん困っちゃうでしょ!」
「私の恋のお話もasuhanaさんが書いたら素敵なんでしょうね。」
「うん、きっと素敵だよね~。」
「とにかく俺様の話を書け!分かったか!」
「えっと、だから私は、」
「皆さん平等でよろしいじゃないですか。asuhanaさんのお部屋の主役はセンパイなんですから。」
「「「「それもそーだな。」」」」
「滋ちゃんは~」
「もう、サルさっきからうるさいよ。なんなのさ、せっかく話がまとまったのに。」
「えー。だって私さっきから」
「あっそろそろ切れるんじゃないか?最後にちゃんと挨拶しようぜ。」
それぞれが顔を見合わせた。
「「「「「「これからも頑張ってください!いつも応援してます!!」」」」」」
「…。」
あきらがテープを取り出して、電話に手を伸ばしスタッフを呼んだ。
「ねぇ総二郎。第1段は花なんでしょ?」
「あぁ。せっかくだから霞草添えて送ったぜ。で、第2弾がコレだろ。」
「他にも何かご用意されたんですか?」
「第3弾はお袋の焼いたケーキだよ。双子と一緒に張り切って作ってたからな。」
「おば様のケーキ美味しいからきっとasuhanaさん喜ぶよ~。」
「司は?」
「俺か?俺はさっき撮った写真を引き伸ばしてパネル付で送るように指示したぜ。これが第4弾だな。」
「ねぇ、総、大事な事忘れてない?」
「ん?あ、そういやあいつから話預かってたっけ?それが第5弾?」
「asuhanaさん喜んでくれるといいね~。」
「「「「そうだな。」」」」
「みんなズルイ…。私何にも言えなかったし、何にも用意させてもらえなかった…。」
「し、滋。きっとasuhanaさんは言わなくても分かってくれてるよ。」
ふてくされる滋をつくしが宥めてる。
いつもと同じ光景だけど、いつもとは違う特別な日だった。
「「「「こういうのも悪くないな。」」」」
そしてその頃asuhana邸にはプレゼント第1弾、総二郎セレクトのベルフラワーと霞草の花束が届くのでした。
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くぅっーーー 大好きな Gipskräuter様に、
明日咲く花 開設 半年 お祝いにと、頂いてしまいました。
むふふっ、幸せのお裾分けでございます。
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