いつもとなりに by Gipskräuter さま 総つく
「どうした?食わねぇのか?お前それ好きだろ?」
食事も済んで、デザートを前にぼーっとしてるつくしに声をかけた。
「えっ、あっ、うん。なんかね、幸せだなぁーと思って。」
「なんだよ、急に?」
「だって、総とこうして一緒にいられるなんて夢みたいなんだもん。」
なんで私こんな事話してるんだろ?
「今日はやけに素直だな?なんかあんのか?」
「ふふっ。何それ?私がこんな事言ったら変?」
ほんとにこいつどうしちまったんだ?いつになく素直なつくしの言葉に嬉しく思いつつも、裏があるんじゃねぇかって勘ぐっちまう自分がいる。
けど、どうやら嬉しい気持ちが勝ったようだ。
「いや。いつもこうして素直に自分の気持ちを言ってくれると嬉しいんだけどな、つくしちゃん。」
「私って、そんなに素直じゃない?」
おいおい、どの口がそんなこと言うんだよ?
苦笑しながらもつくしを見れば、こいつも自覚があるんだろう。俺を見ながらさも可笑しげに笑ってる。
そしてようやくデザートに手を伸ばした。その幸せそうな顔を見てると俺の方が幸せな気分になってくる。
俺たちが付き合いだして三年の刻が経っていた。
大学を卒業した俺が、街で偶然つくしを見かけたことで動き出した俺たちの時間。
付き合い始めたの頃はどこか斜に構えていたつくしも、今じゃすっかり自然体になってるし、多少は素直になった。けどこんなに素直なのは珍しい。
そう思うけど、そんなつくしが可愛くて堪らねぇ。
つーか、今日が話を切り出すチャンスじゃね?
自分の中ではある程度考えていたこれからの道。当然、これからの俺に欠かすことの出来ねぇつくし。二人の将来を重ねるべく、この三年動いてきた。
「ごちそうさまでした!」
つくしに視線を戻すと両手を合わせて頭を下げている。何年たっても変わんねぇ姿に笑みが溢れた。
「もういいのか?」
「うん、もうお腹いっぱいだよー。」
「じゃ、行くか。」
つくしをエスコートして店を出て、そのまま上のスイートに移動した。
贅沢だとか勿体無いだとか騒いでたつくしはどこに行ったのか?そう思うけど、つくしなりに俺の世界に歩み寄ってくれているんだと思えば嬉しくなる。
部屋のドアを開けてつくしを促せば、いつものように窓際に歩を進めてその場に佇んでいる。こいつはいつも何を想ってこの景色を見てんだろう?
「なぁ、つくし。」
つくしに近寄りギュッと抱きしめた。
「夢じゃねぇから。」
「総?」
「こうして二人でいること。夢じゃねぇから。だからさ。これからもずっと一緒にいようぜ。」
「ずっと?」
「あぁ、ずっと。いつも俺の隣で笑ってろよ。」
「後悔しない?」
「するワケねぇだろ。」
腕を解いて二人向き合った。
「ごめんな、つくし。」
「えっ?」
不安げな表情を浮かべて俺を見上げるつくし。いきなり謝ったのがどうやら誤解を招いたらしい。
「俺がもっと早く動いてりゃ、お前に不安なんか感じさせずに済んだのに。」
俺の言葉にホッとしたのか短く息を吐いた。
「なぁ、ちゃんとした形で親父らに会ってくれないか?ずっと一緒にいるために。」
「でも…反対されたら私…。」
「つーか、早く連れて来いってうるさいんだ。」
「はっ?」
つくしは目を丸くする。
「二人して逃げられる前に早く連れてこいってさ。
正直、お前をあの家に引き込むのが怖かったんだよな、俺も。けどお前は雑草のつくしだろ?俺も頑張るから、つくしもあの家で頑張ってくんねぇ?
いろいろ考えたけどさ。やっぱりいつも隣にいてほしいのはお前なんだ。」
涙を浮かべるその目元にキスを落とす。
「返事はオッケーだろ?」
大きな瞳から溢れ出す雫に唇を這わせた。
「いつも一緒にいてくれる?」
「当たり前だろ。だからいつも隣にいろ。」
「総も俺様だよね。」
「でも好きなんだろ?」
クスクス笑うつくしに顔を寄せて、想いを込めて唇を塞いだ。
二人で幸せになろうぜ、つくし。 ******************************
くぅっーーー 大好きな Gipskräuter様に、
明日咲く花 開設 半年 お祝いにと、頂いてしまいました。
むふふっ、幸せのお裾分けでございます。
つぅか、総ちゃんカッコ良すぎでしょー
ありがとうございます♪♪
- 関連記事
-
- 心の奥に鍵をかけてしまいこんだ想い byロキさま
- 大奥~明日花の乱~ by haruwo
- 開かずの扉 〜アゲハ蝶 総つくver〜 by haruwo さま
- ある日の出来事 by Gipskräuterさま
- いつもとなりに by Gipskräuter さま 総つく
- 見つけた 総つく miumiuさま
- Heartを重ねて 総つく aoiさま