Tea for Two 38 司つく
「懲戒解雇‥裁判‥実刑‥前科者‥」
嬉しそうに、嬉しそうに、ニタリ、ニヤリと笑いながら‥‥
あたしの唇を指でなぞる‥
「‥ご、ご、ごめんなさい‥」
「なぁ、牧野、」
「はい」
思わず大きな声で返事する。
「お前が、訴えられなくて済むいい方法があんぞ」
天の助け!! ヒャッホイ‥
あたし、この時点で、
いいや正確にいうともっと前の時点だけど‥
冷静さを失っていたのだろう。
物事を的確に見極め、ジャッジする力に。
「なに?なに?」
「簡単な話しだ。俺とお前が恋人同士になりゃいいんだ」
ちょっと考えたら、わかるのに‥
ただ単に、目の前の男が、訴えなければいいだけの話しだ。
そもそも、そもそもだ。
駄々を捏ねたあんたに、親切丁寧に薬を飲ませてあげただけでしょ。
そう、啖呵をきればいいだけの話しだったんだ。
なのに、なのに‥ はぁっーーー 盛大にバカだった。
「そうかぁー」
なんて思っちゃったんだもん。
そればかりか、すげぇ道明寺。なんてことまで思った。
「で、どうすんだよ?」
道明寺があたしに囁く。どうすんだと。
どうするって、懲戒解雇いいや、前科者になるか、恋人同士かの2社択一だ。
流石に、あたしも自分が可愛い。まだ前科者にはなりたくない。
右手を差し出し
「よろしくお願いします」
頭を下げて挨拶をした。
目出たく?晴れて?交際スタートになって
人生初の彼氏が出来た。
しかも‥飛び切りのいい男。
ここまでで、あたしの頭はショートした。
プシュゥッ− と音を立てたかのように、ショートして
道明寺の腕の中で、スヤスヤ眠ってしまった。
大きく羽交い締めするかのように抱かれて、あたしは眠った。
で、目覚めた瞬間‥支度をさせられ連れてこられたのが‥
昨日も来た社長室‥
目の前の男が雄弁に語っている。
「‥‥で、昨日は言い忘れたが、コイツ俺の彼女だから‥よろしくな」
なんて、楓社長と西田秘書長に紹介をしている。
身分が違う。やれなんだの反対が‥そう思ったのに
「やっぱり、そうだったのぉ、うん、ほらやっぱり」
だの
「司様の人を見る目も、随分とご成長されて、嬉しゅうございます」
「お式や諸々のことは、また追々に話し合いましょう」
で、締めくくられた。
いやいや、これは前科者になりたくないあたしの苦肉の策でして‥
そう言える雰囲気じゃなくて‥
とても和やかムードのまま、お開きになった‥
長い廊下を歩きながら‥
「なぁ、表彰式のドレスは、昨日選んだんじゃなくて、俺のスーツと揃いのにしたからよぉ」
「えっ“ なんで‥」
「あんっ?俺等恋人同士だからだよ。しかも親公認のな。
くくっ、日本戻ったらお前ん家の両親にも挨拶だな」
嬉しそうに、嬉しそうに笑いかけながら、そんなことを話してきた。
表彰式? えぇえぇ、勿論揃いのスーツとドレスで出席してます。
何故か‥楓社長があたしを婚約者扱いして、招待客に紹介している‥‥
「えぇ、まだ正式にお披露目ではないんですけどね、オホホッ」
そんな高笑いを浮かべて‥
あ、あ、あたし‥どうなる?
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