刹那 04 総つく
チリーン チリーン チリリンと 鈴の音が響く
つくしと俺の二人から奏でられる音が
何だか気恥ずかしい気分になりやがる。
「綺麗な音だねーこの街にぴったり」
チリーン
つくしが動く度に微かに音がする。
刹那
喧騒が止み‥つくしの周りを金粉が舞い踊り、背中に羽根が見える。
非現実的な光景な筈なのに‥違和感を感じない。
チリーン、チリーン
喧騒が戻り、金粉が消える。
背中の羽根‥この前より幾分育ってた気がすんなぁーなんてバカな事まで考えた。
夢か現か‥一刹那が見せた幻か
一陣の風が、俺とつくしの間を駆け抜けて
チリ−ン チリーン チリリン
と鈴を鳴らす。
「なぁ、折角だから海行くか?」
「着物だよ?」
「砂浜歩くわけでもねぇから大丈夫だ」
そっかーそうだよね、なんて言いながら、嬉しそうに笑ってやがる。
この笑顔、守ってやりてぇーなって思う。
同時に、俺だけの為に笑って欲しいと願っちまう。
囲い込んでこいつを独り占めしたいと願っちまう。
「どうせだからブラブラしたいなぁー」
「鶴岡八幡で降ろしてもらって歩くか?」
「あっ、だったらコクリコに行こう」
「コクリコ?」
「ほらっ、前に来た時一緒にクレープ食べたとこ」
「あぁ、いいぞ」
2人でブラブラと小町通を歩く。
何がそんなに楽しいのか,鈴のようにコロコロ笑ってる
「あっ、総、見てーーほらっコレ可愛い」
店先に並ぶ色とりどりのものを、あれこれ手に取りながら
やれこれが可愛いだの、あれが可愛いだの、きゃぁきゃぁ言いながら見てやがる。
そんなん見ながら幸せ感じまうんだから、俺も始末に終えねぇよな
「総は何食べる?」
「いらねぇ」
「あげないよっ」
頬張りながら、レモンなんちゃらを食うお前‥あんまりにも美味そうで、横から一口貰う。
「あぁーもうダメって言ったじゃん」
そんな仕草が、マジ可愛くて態と奪い取りたくなる。
俺、コイツに惚れてんだ、そう感じる瞬間だ
ギャーギャー騒ぐ牧野に、女を感じんだもんなぁー
ったく、俺も焼きがまわってんよな。
ってか、ガキか?好きな女をからかって楽しいなんてな
夕方の海は、何処か物寂しい。
海を見つめるつくしの頬が、夕陽で紅く染まっていく。抱き締めてキスしてえなぁー。ビックリすんかな?
目まん丸くして、「なにやんの、エロ門」ってすげぇ怒んだろうな?
くるりと後ろを振り返り、
「そう言えば来月、類が帰って来るって言ってたよね」
無邪気に笑いながら、目の前の女が俺に言って来る。
「知らねぇよ」
ついつい口調が荒くなる
「ふーん、来月中旬にこっちに帰ってくるから、会おうって言ってたよ」
なぁ、つくし、類が会いてぇのはお前だけだ。
他の奴らに会いてぇワケじゃねぇと思うぞ。
「でもよ、お前来月から西門でバイトだろうよ」
「そうなんだよねーまぁお休みもあるしね。あっ、それより、お世話になりますだね」
「あぁーっこっちこそ、事務局の奴らが無理言って悪かったな」
つくしの語学力、3年半みっちりやってきた茶道の腕前、日本文化に対しての造詣の深さから、西門の事務局長がつくしに白羽の矢を立て、西門のスタッフとして手伝ってくれと懇願したんだ。
事務局の奴らのプッシュに負けて。来月からうちのスタッフとして、働く事になった。
つくしのことだ、断れないまま西門で働く事になんだろうな。
コイツは、なんも持っちゃいねぇ、だから、西門に必要な色んなもんを,自然にコイツが選びとるようにしてきた。
至る所に、張り巡らせてそれを自分自身の意思で選びとるようにしてきた。
コイツがその気になりゃ、和尚が後見人の役割は担ってくれんだろう。
そうなりゃ、家元は文句は言えねぇ‥ 問題は、家元夫人か‥
「総,また爪噛んでるよ」
考え事をして、小指を噛んでいたらしい。
つくしが俺の小指を掴み
「若宗匠の指先は、国宝になるんですからね、この癖直さなくっちゃ」
真剣に怒ってやがる
チリーン 鈴の音がする。
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つくしと俺の二人から奏でられる音が
何だか気恥ずかしい気分になりやがる。
「綺麗な音だねーこの街にぴったり」
チリーン
つくしが動く度に微かに音がする。
刹那
喧騒が止み‥つくしの周りを金粉が舞い踊り、背中に羽根が見える。
非現実的な光景な筈なのに‥違和感を感じない。
チリーン、チリーン
喧騒が戻り、金粉が消える。
背中の羽根‥この前より幾分育ってた気がすんなぁーなんてバカな事まで考えた。
夢か現か‥一刹那が見せた幻か
一陣の風が、俺とつくしの間を駆け抜けて
チリ−ン チリーン チリリン
と鈴を鳴らす。
「なぁ、折角だから海行くか?」
「着物だよ?」
「砂浜歩くわけでもねぇから大丈夫だ」
そっかーそうだよね、なんて言いながら、嬉しそうに笑ってやがる。
この笑顔、守ってやりてぇーなって思う。
同時に、俺だけの為に笑って欲しいと願っちまう。
囲い込んでこいつを独り占めしたいと願っちまう。
「どうせだからブラブラしたいなぁー」
「鶴岡八幡で降ろしてもらって歩くか?」
「あっ、だったらコクリコに行こう」
「コクリコ?」
「ほらっ、前に来た時一緒にクレープ食べたとこ」
「あぁ、いいぞ」
2人でブラブラと小町通を歩く。
何がそんなに楽しいのか,鈴のようにコロコロ笑ってる
「あっ、総、見てーーほらっコレ可愛い」
店先に並ぶ色とりどりのものを、あれこれ手に取りながら
やれこれが可愛いだの、あれが可愛いだの、きゃぁきゃぁ言いながら見てやがる。
そんなん見ながら幸せ感じまうんだから、俺も始末に終えねぇよな
「総は何食べる?」
「いらねぇ」
「あげないよっ」
頬張りながら、レモンなんちゃらを食うお前‥あんまりにも美味そうで、横から一口貰う。
「あぁーもうダメって言ったじゃん」
そんな仕草が、マジ可愛くて態と奪い取りたくなる。
俺、コイツに惚れてんだ、そう感じる瞬間だ
ギャーギャー騒ぐ牧野に、女を感じんだもんなぁー
ったく、俺も焼きがまわってんよな。
ってか、ガキか?好きな女をからかって楽しいなんてな
夕方の海は、何処か物寂しい。
海を見つめるつくしの頬が、夕陽で紅く染まっていく。抱き締めてキスしてえなぁー。ビックリすんかな?
目まん丸くして、「なにやんの、エロ門」ってすげぇ怒んだろうな?
くるりと後ろを振り返り、
「そう言えば来月、類が帰って来るって言ってたよね」
無邪気に笑いながら、目の前の女が俺に言って来る。
「知らねぇよ」
ついつい口調が荒くなる
「ふーん、来月中旬にこっちに帰ってくるから、会おうって言ってたよ」
なぁ、つくし、類が会いてぇのはお前だけだ。
他の奴らに会いてぇワケじゃねぇと思うぞ。
「でもよ、お前来月から西門でバイトだろうよ」
「そうなんだよねーまぁお休みもあるしね。あっ、それより、お世話になりますだね」
「あぁーっこっちこそ、事務局の奴らが無理言って悪かったな」
つくしの語学力、3年半みっちりやってきた茶道の腕前、日本文化に対しての造詣の深さから、西門の事務局長がつくしに白羽の矢を立て、西門のスタッフとして手伝ってくれと懇願したんだ。
事務局の奴らのプッシュに負けて。来月からうちのスタッフとして、働く事になった。
つくしのことだ、断れないまま西門で働く事になんだろうな。
コイツは、なんも持っちゃいねぇ、だから、西門に必要な色んなもんを,自然にコイツが選びとるようにしてきた。
至る所に、張り巡らせてそれを自分自身の意思で選びとるようにしてきた。
コイツがその気になりゃ、和尚が後見人の役割は担ってくれんだろう。
そうなりゃ、家元は文句は言えねぇ‥ 問題は、家元夫人か‥
「総,また爪噛んでるよ」
考え事をして、小指を噛んでいたらしい。
つくしが俺の小指を掴み
「若宗匠の指先は、国宝になるんですからね、この癖直さなくっちゃ」
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