刹那 09 総つく
チリーン
木蓮には妖精が住むと、総が話した時にびっくりした。
あたしも、妖精に会ったことがあるから。
進が肺炎にかかり、お婆ちゃんの家に預けられ時だった。
あたしは、妖精に会ったんだ。美しい男の子の妖精に。
お婆ちゃんの家は嫌じゃなかったけど、
まだ幼いあたしには、ママがいない生活が、
寂しくて寂しくてたまらなかった。
お婆ちゃんのお家には、大きな大きな木蓮の木があった。
木蓮の木の下は、あたしのお昼寝の定位置だった。
「ふわっ〜よくねた」
隣を見ると、小さな男の子が寝ていた。
その子も、あたしと同時に目がパチリと醒めて
「ふあぁっ〜」
2人で目が合って、クスクスと笑い合った。
「あたし、つくし、あなたのおなまえは?」
「ルタ‥」
ルタと名乗る男の子は、サラサラ黒髪ヘアーの男の子。
小さな小さな若様みたいだった。
毎日毎日一緒に遊んだ。
銀色の蕾だった、木蓮の花が一斉に開いた日
「つくち だいしゅき またあいたいな」
ルタがニッコリ微笑んだ。
「もうあえなくなっちゃうの?」
あたしは聞いたんだっけ。
「あちたも くるよ」
次の日も一緒に遊んだ、その次の日も‥
音を立て,木蓮の木が、一斉に花を落とした
刹那‥
「またね」 その言葉を残して、ルタは消えた。
チリーン
車の揺れに合わせて、いつの間にか眠っていた。
懐かしい夢を見ていた。ルタと出会った日の夢だ。
総に寄りかかって寝ていた様で‥
「つくしちゃん、おはよう」
ニヤニヤ笑って言って来る
「もう‥おはようじゃないじゃん」
「ホラッ、よだれ」
慌てて口元を拭う
「嘘だよ」
可笑しそうに笑っている。
あまりにも屈託なく笑う総を見て、ルタを思い出す。
ルタは、寂しかったあたしが見た幻?
ううん。ルタは本当に居た。
だって‥あたしはルタから鈴を貰ったもの
貰った鈴は2つ
「つくち、やくよちぇ」なんの意味かわからなかった。
厄よけの意味だと気が付いたのは、大人になってから。
大事に大事にしてきた 銀の鈴。
チリーン チリーン と、美しい音を奏でる。
和尚の所に訪れた帰り道、一つを総に手渡した。
和尚に貰ったかのようなふりをして、一つを総に手渡した。
チリーン 鈴の音が聞こえる。
「鈴‥」
「つくしが渡してくれた奴だよ」
ホラッと言って、総が鈴を見せてくれる。
チリチリ チリーン 鈴の音が響く。
刹那
総の瞳と目が合う。
あたしは、慌てて笑う。
「えへへっ、また寝ちゃったね」
胸のドキドキを隠して、あたしは笑う。
チリーン
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まだ幼いあたしには、ママがいない生活が、
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木蓮の木の下は、あたしのお昼寝の定位置だった。
「ふわっ〜よくねた」
隣を見ると、小さな男の子が寝ていた。
その子も、あたしと同時に目がパチリと醒めて
「ふあぁっ〜」
2人で目が合って、クスクスと笑い合った。
「あたし、つくし、あなたのおなまえは?」
「ルタ‥」
ルタと名乗る男の子は、サラサラ黒髪ヘアーの男の子。
小さな小さな若様みたいだった。
毎日毎日一緒に遊んだ。
銀色の蕾だった、木蓮の花が一斉に開いた日
「つくち だいしゅき またあいたいな」
ルタがニッコリ微笑んだ。
「もうあえなくなっちゃうの?」
あたしは聞いたんだっけ。
「あちたも くるよ」
次の日も一緒に遊んだ、その次の日も‥
音を立て,木蓮の木が、一斉に花を落とした
刹那‥
「またね」 その言葉を残して、ルタは消えた。
チリーン
車の揺れに合わせて、いつの間にか眠っていた。
懐かしい夢を見ていた。ルタと出会った日の夢だ。
総に寄りかかって寝ていた様で‥
「つくしちゃん、おはよう」
ニヤニヤ笑って言って来る
「もう‥おはようじゃないじゃん」
「ホラッ、よだれ」
慌てて口元を拭う
「嘘だよ」
可笑しそうに笑っている。
あまりにも屈託なく笑う総を見て、ルタを思い出す。
ルタは、寂しかったあたしが見た幻?
ううん。ルタは本当に居た。
だって‥あたしはルタから鈴を貰ったもの
貰った鈴は2つ
「つくち、やくよちぇ」なんの意味かわからなかった。
厄よけの意味だと気が付いたのは、大人になってから。
大事に大事にしてきた 銀の鈴。
チリーン チリーン と、美しい音を奏でる。
和尚の所に訪れた帰り道、一つを総に手渡した。
和尚に貰ったかのようなふりをして、一つを総に手渡した。
チリーン 鈴の音が聞こえる。
「鈴‥」
「つくしが渡してくれた奴だよ」
ホラッと言って、総が鈴を見せてくれる。
チリチリ チリーン 鈴の音が響く。
刹那
総の瞳と目が合う。
あたしは、慌てて笑う。
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