刹那 17 総つく
つくしが話し始める‥お袋との出会いを
* *
「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
美しい女性が、ニコリと笑う。
同じ曜日、同じ時間に来る女性に、心惹かれたのは、何がきかっけだったんだろう?
ロングストレートの黒髪と、切れ長な瞳を持つ女性だった。何故か懐かしくて‥昔から知っている人で。
簡単な挨拶を交わすようになったのは、何度目だっただろう?
お天気がいいですね。。今日は、熱いですね。寒いですね。そんな会話から始まった。
学校の帰り道だった。どんより気分の日だった。
前の日に、テレビ電話の道明寺と喧嘩した。いつもの如く、類に嫉妬して、散々罵ってくれちゃって、それに反論して、盛大に言い合いをした、次の日だった。
5メートル前に、バナナの皮が落ちていた‥うわっバナナの皮‥バナナの皮で転んだら、それこそ踏んだり蹴ったりだな。いやいや、今時漫画じゃあるまいし、あり得ないかぁーと思っていたら‥
目の前から来た女性が、スッテンコロリン‥慌てて走って、受け止めた。
* *
「スライディングして、受け止めたのが美智さんだったのよー。美智さんとはそこからのお付き合いで、西門さんのところでお会いした時は、それも家元夫人と知った時は、ビックリしちゃった」
クスリっ、と楽しそうに笑う。
「でね、昨日のメンバーは‥」
“withつくし” メンバーなのだと言う。
所謂、良家の子女メンバーのお袋達を、色々連れていったのだと。
「最初はね、もんじゃが食べたいと頼まれてね。次がクレープ、その次が上野の屋台、先月は居酒屋にも行ったよ」
何かを思い出したのか?ケラケラと楽しそうに、つくしが笑う。
“With つくし” すげぇメンバーだな‥
奥方様の心は、鷲掴みってやつか? そりゃぁ事務局長の覚えもめでたいっつーもんだ。
「でね‥実は‥総には内緒にしてた事が、もう一つあって」
上目遣いで、チラリと俺を見る。
だから、その目は、止めろ‥その目は、反則だ。
「あっ、なんだ?」
「あのね、with つくし‥もう一つ結束したいらしいの‥」
もう一つ? ハテナが渦巻き、つくしを見る。
「うーーん。それでね、そっちは総にも手伝ってもらわないと‥なんだけど‥」
手伝う?なにをだ?
「あ、あ、あのね、む、無理だったらいいのよ」
無理もなにもねぇだろうよ。先ずは話してみろと促す。
スーハー 深呼吸を一つして、つくしが話す。。
「あのね、withつくし 夫婦で参加verを結成したいんだって‥」
「はっ?夫婦で参加?」
「うん。和尚の所も参加したいって話になってね。そうしたら、なんだかんだと総勢10組の参加になちゃったの
うん。なっちゃったの‥なんだか大事に。最初、粗相がないように、事務局長に相談と思っていたら、with つくし の ノリそのままで、楽しませてくれませんとな。西門の固いノリは嫌ですからな」
楽しそうに笑いながら、釘をさされちゃってね。
「でね‥ with つくし 湯けむりツアー をしたいらしいの」
「湯けむりツアー?」
「うん。湯けむりツアー まぁ、その一泊でどんちゃん騒ぎがしたいと‥で、で、そんな大役‥あたし一人じゃ気が重くて‥総、お、お、お願いします」
真剣な眼差しで、真っすぐに俺を見て
「駄目かな?」
なんて可愛らしく聞いてくる。
煎じ詰めれば、得意筋の接待だろ?
もっと堂々として、こき使えばいいのにな
そう思ったが、
「なぁ、俺の見返りは?」
チリーン
鈴の音がどこか楽しげに鳴っている。
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