刹那 18 総つく
「み、み、見返り?」
素っ頓狂な声あげて、つくしが聞き返す。
「あぁ、見返り」
「あっ、そうだよね。総、忙しいのにこんな雑事を頼むんだもんね。うん。そうだよね」
一人ぶつぶつ呟いて
「何がいいかな?あっ、来月はお給料が丸々入るんだ。ちょっとリッチだから、あんまり高くないところなら奢れるよ」
なぁつくし、お前が欲しいって言ったら、お前どうするよ?
なんて事を思いながら、一人であぁじゃないこうじゃない話すつくしを眺めてた。
「うん、ちゃんと、ご用意しますので、どうぞよろしくお願い致します」
ペコリと頭を下げてくる。
そんな仕草が、どんだけ可愛いかって解ってやってんじゃねえの?
「っん?」
「あっ、いや‥まだ6時だしな。折角だから、朝茶事の稽古つけてやるぞ」
ニッコリと嬉しそうに笑う。
板場に言って、朝茶事用に一汁一菜の懐石を用意してもらう。
道具の用意から、一緒にしていく。
「朝茶事はな、夏の暑い時になるべく短時間で楽しんでもらうために‥」
総の凛とした声が、あたしの横で語りかけてくる。
初炭手前から始まる朝茶事。
お濃茶に続いてお薄茶と流れるように移って行く。
美しい。色々な方のお手前を見させて頂く機会が増えたからこそ感じる、総のお手前の美しさ。
総が、顎をしゃくって
「ほらっ、ここまでやってみろ」
ただ見惚れたとは、言えずに‥慌ててしまう。
「ぷぷっ、朝茶事は後炭が省略されっから、正午の茶事よりも楽だ。何回か体験したら‥お前、半東な」
「えっ」
「えっじゃねぇよ。あっ、見返りでいいや」
「えぇーー」
「じゃぁ、湯煙ツアー手伝わねぇぞ」
「もう、意地悪‥」
朝茶事は、朝が早い。前日に用意する事も沢山入ってくる。
ククッ、夏は、つくしがこの屋敷に泊まって行く事も増えるだろう。
まぁ、なし崩しにそのまんま住んじまえば‥いいんだけどな。
「半東デビューだかんな、頑張れよ」
朝茶事で、しっかり覚えたら、正午の茶事のデビューだな、俺は算段を立てていく。
「う、う、うん‥なんか今から緊張してきた」
「withつくしのメンバーに客人になってもらえばいいだろうよ、そうだな正客は和尚で」
「うん、うん。そうだよね、うん。だったら出来そうな気がする」
プッ、お前馬鹿だな。和尚を正客に、つくしメンバーなんて、大変なんだぞ。
知らねぇってのは、すげぇことだよな。
来月の茶会で、揃いの着物を着て、夏の朝茶事で半東を努めりゃ、しかも、正客が和尚とくりゃ、まぁ周知の事実だよな。
事務局に就職も、花嫁修業の一貫として見られんだろうよ。
あとは‥‥お前の気持ちだけなんだよな‥
なぁ、つくし‥ 司のことは吹っ切れたか?
何度も何度も口許まで出かけて、押し込める。
チリリーン
鈴の音色が変化する。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村

♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
素っ頓狂な声あげて、つくしが聞き返す。
「あぁ、見返り」
「あっ、そうだよね。総、忙しいのにこんな雑事を頼むんだもんね。うん。そうだよね」
一人ぶつぶつ呟いて
「何がいいかな?あっ、来月はお給料が丸々入るんだ。ちょっとリッチだから、あんまり高くないところなら奢れるよ」
なぁつくし、お前が欲しいって言ったら、お前どうするよ?
なんて事を思いながら、一人であぁじゃないこうじゃない話すつくしを眺めてた。
「うん、ちゃんと、ご用意しますので、どうぞよろしくお願い致します」
ペコリと頭を下げてくる。
そんな仕草が、どんだけ可愛いかって解ってやってんじゃねえの?
「っん?」
「あっ、いや‥まだ6時だしな。折角だから、朝茶事の稽古つけてやるぞ」
ニッコリと嬉しそうに笑う。
板場に言って、朝茶事用に一汁一菜の懐石を用意してもらう。
道具の用意から、一緒にしていく。
「朝茶事はな、夏の暑い時になるべく短時間で楽しんでもらうために‥」
総の凛とした声が、あたしの横で語りかけてくる。
初炭手前から始まる朝茶事。
お濃茶に続いてお薄茶と流れるように移って行く。
美しい。色々な方のお手前を見させて頂く機会が増えたからこそ感じる、総のお手前の美しさ。
総が、顎をしゃくって
「ほらっ、ここまでやってみろ」
ただ見惚れたとは、言えずに‥慌ててしまう。
「ぷぷっ、朝茶事は後炭が省略されっから、正午の茶事よりも楽だ。何回か体験したら‥お前、半東な」
「えっ」
「えっじゃねぇよ。あっ、見返りでいいや」
「えぇーー」
「じゃぁ、湯煙ツアー手伝わねぇぞ」
「もう、意地悪‥」
朝茶事は、朝が早い。前日に用意する事も沢山入ってくる。
ククッ、夏は、つくしがこの屋敷に泊まって行く事も増えるだろう。
まぁ、なし崩しにそのまんま住んじまえば‥いいんだけどな。
「半東デビューだかんな、頑張れよ」
朝茶事で、しっかり覚えたら、正午の茶事のデビューだな、俺は算段を立てていく。
「う、う、うん‥なんか今から緊張してきた」
「withつくしのメンバーに客人になってもらえばいいだろうよ、そうだな正客は和尚で」
「うん、うん。そうだよね、うん。だったら出来そうな気がする」
プッ、お前馬鹿だな。和尚を正客に、つくしメンバーなんて、大変なんだぞ。
知らねぇってのは、すげぇことだよな。
来月の茶会で、揃いの着物を着て、夏の朝茶事で半東を努めりゃ、しかも、正客が和尚とくりゃ、まぁ周知の事実だよな。
事務局に就職も、花嫁修業の一貫として見られんだろうよ。
あとは‥‥お前の気持ちだけなんだよな‥
なぁ、つくし‥ 司のことは吹っ切れたか?
何度も何度も口許まで出かけて、押し込める。
チリリーン
鈴の音色が変化する。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村

♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
スポンサーサイト