明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

一葉の写真 前編 総つく

「総、見て見て...」
この邸には一見不釣り合いな明るく透き通る大きな声で俺を呼ぶ。

彼女が手にしていたのは、懐かしい一葉の写真…
親友達皆で撮った懐かしい写真

「もうどのくらい経つんだろうね?」
大きな目を細めながら考え込むお前

「この写真って、あたし制服着てるから高校の時のだよね?
だとすると30年は経ってるって事かぁ…流石に皆も若いよね…」
懐かしそうにお前の指が写真をなぞる。
そんな仕草も色っぽくて見惚れちまう。大概俺もいかれてんなぁーと思う。

世間で言えば、20年近く一緒に連れ添った女房は古女房の部類だろうに…

「この頃って今と違って写真だったんだよな」

「現像出来るまでどんな写真に仕上がってるか解らなかったんだよね~」
そう言いながら思い出を懐かしむように、クスクス笑うお前。
どこの記憶の世界に旅立ってるんだ? 
俺はお前の過去にも未だに嫉妬してしまう。
お前の激しい恋を俺は知っている。

「ほらほら、総とさぁー撮った写真の中に、鼻しか写ってないのとか目しか写ってないのとか色々あったじゃない。」
美桜がまだちいちゃな時、撮ってくれた写真だな。

「今ならさ、プリントしないようなのもいっぱいあったよね。」
色々な事を思い出してるのか大きな黒い瞳がクルクルとよく動いている。
昔から、そうだ。お前の瞳は全てを語るんだよな。

あの日も、お前の瞳は、言葉よりも何よりも俺への愛を雄弁に語ってくれていたんだっけな…
俺がお前の 過去も未来も  全てを引き受けた日。
俺がお前の 未来も過去も  一切合財俺のもんにした日。




激しい恋をした牧野と司。
司の記憶が戻らない儘、司とお前は別れ...なんとなく縁遠くなったんだった。

高校を卒業したお前が、
金沢の大学に入ったのもあって何年も会ってなかったんだよな。

類とはよく連絡をとりあってたみたいだけどな……そりゃ今も昔も変わらねぇってか。


紅葉を愛でる目的で開かれた金沢で行われた野点に、お前は突然現れた。
高校の時のお前しかイメージがなかった俺は…何年振りかに会うお前の余りの変わりように
最初お前だってわかんなかったんだっけかな。

美しい所作の女がいるなと久方ぶりに感心していたら、それがお前だったんだ。

「西門さん元気だった?」と聞かれ 
一瞬昔何かあった女か?いいやこんな極上な女知らねえなって、
考えちまうくらいお前は色っぽく妖艶で、俺好みになってた。
しばし、唖然とする俺に

「牧野だよ? 牧野つくし。忘れちゃった?西門さん女の顔は忘れないんじゃなかったの?」
ケタケタ笑いながら、懐かしい声で話すお前。
外見はもの凄く変わってるのに、中身は高校時代の牧野のまんまで...
一瞬にして高校時代の記憶が蘇ってきた。

「つくしちゃん お待ちしてたわ」
そう言いながら家元夫人が登場して、尚更驚く俺。
しかもだ、中々他人に心許す事ない家元夫人が つくしちゃん だって?
しかもしかもだ、柔和な今まで俺が見た事もないような顔して微笑んでいやがる。

くるっと俺に振り向き、顔を顰め
「...若宗匠、牧野さんをご存じでいらっしゃるの?」

「.........」

「斗貴子おば様、若宗匠とは、英徳の後輩にあたるんです。」

「あら、そうなの。だからお話してたのね。
ホホッ、大切なつくしちゃんに傷でもつけたら大変と思ったものだから...」
なんて事をぼやいていやがる。

「 家元夫人 」 
内弟子に声を掛けられ残念そうに
「つくしちゃん またあとでね」
と、言いながら去っていった。

漸く我にかえり、このまま別れ難くなった俺は
「牧野、お前今日暇か?俺はちょっと顔だしゃ用は終わるから、お前が暇ならこの後飯でもどうだ?」
そう問うてみた。

「今日? 今日はちょっと忙しいかな??」
疑問形で答える牧野。

「あっ、でもぉ ぅんどうなのかしら?」
なんて言いながら考えてた牧野。

聞けばこの後、 西門金沢支部主催で行われる 交流会に 参加予定だと言うじゃないか。

「ソレ俺も行くやつだわ...なら一緒に行くか」

「そういやぁお前、今どこに居んの?」

「ふふっ。いまは金沢。でも来月からは東京だよ。」

「そうそう、家元夫人とはね 金沢にきてからだから、彼此10年近くのお付き合いになるのかな?
お店出してからは、金沢に来るたびにうちの店に寄って下さるのよ。」

聞けば縁あって、香木を扱う香のお店を営んでるらしく、中々盛況なんだそうだ。
金沢の店は弟夫婦に任せ、牧野は東京で店を構えるらしい。

お袋の勧めで、金沢で茶道を始めて10年近く経つらしく、
「お免状も頂いたんだよ。」
エヘッン なんて胸を張りながら偉そうにしてた牧野。

「なら、今度俺に振る舞ってくれよ。」
そんな風にからかうと慌てて
「滅相もございません」 なんて言いながらフルフルと首を振る。

その仕草があまりにも可笑しくて
気が付いたら、ガキん時みたいに声出して笑ってた俺。


「東京に来てもお茶は続けんだろ?」
頷く牧野。
「斗貴子おば様が師事して下さる事になってるの。西門さんのお宅にお邪魔させて頂くようになったら会うかなぁ~とは、思ってたんだけどね。」
クスクスっと何が可笑しいのか牧野が笑う。

さっき飲んでた酒に少し酔ったのか、頬が上気して艶めかしい。
あぁ~こいつはもう高校時代の牧野じゃないんだなぁ~ と、思慕に耽る

刹那 俺は牧野に恋をした



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