君の天使 10 司つく
流れるように説明している。
優しい物腰に、口調だけど
「「牧野さんのお陰で、向こう1年間の道明寺HDの広告は、全て御社が請け負う事になったんですよ!なんでも、水素水のフレーズが、いたくお気に入られたとかで‥お調べになられたらしく‥」
つくしのご機嫌フレーズを並べていく。
つくし、でも、ちょっと待て‥それ全部、司がやってる事だからね。
ククッ、そんなに鼻の穴広げちゃって‥
オレ、笑いが止まらない。
「‥に、なりまして‥こちらにサインを‥」
サインをの時点で、つくしが我に返った。
「あのぉ‥このお話をお断りするこ‥と」
「勿論、出来ますが‥」
ククッ、流石だね、人事部長! 含みを持たせる持たせる。
まぁ、そりゃ、そうか‥ここでつくしを納得させられなかったら、自分のクビだって妖しくなっちゃうもんね。
「では‥」
つくしがそう言葉を返した瞬間‥
「有り難うございます。快諾して頂けて、私も大変嬉しいです」
おぉー流石の切り返しだ。
「やはり、女性が世の中に出る為には、チャンスが必要ですからね‥牧野さんもこのチャンスをモノにしない手はないですよ」
畳み掛けるように言葉をつなげ、ニッコリと微笑んだ。
ふむ。そりゃそうだ。と一瞬つくしが納得した瞬間、手にはペンが握らせられていた。
言われるままに
つくし‥中身も良く読まずに、サイン終了。
まぁ、オレとしては、この展開ホクホクなんだけどね。
突然回り始めた歯車に、つくしの頭はショート寸前だ。
「それでは、上のものに報告を入れさせて頂きますので、私はこれで失礼させて頂きます」
人事部長は、つくしにそう声をかけて部屋を出て行った。
残されたのは、つくしと栗のテリーヌ。
残しても、ゴミ箱行きだとでも思ったのだろう、徐に食べだした。
パクリ パクパク‥‥ 食べだした。ヒールの踵が、少しだけ上がっている。
《道明寺の仕業だ‥よね?》
そんな事を、ブツブツ呟きながら、パクパク食べて、お茶をゴクリっと飲み干した。
ねぇ、つくし‥その目の前の契約書、先に目を通した方がいいよ。
あっ、ファイルに入れちゃったよ。
あちゃぁーー 何でも後回しは、ダメだよ。
ははっ‥‥テンパッテル時のつくしの癖‥出ちゃったね‥
いつもなら、そっと落としてみたりして気がつかせるけど‥
ククッ、今回は必要ないよね? うん必要ないよ。
天使のオレが言うんだから。間違いないよ。
テゥルリン♪ LINEが入る。
つくしちゃん、今日の待ち合わせ大丈夫そう?
トモからのLINEだ。
うん。8時にmoare OKです。
返信を完了して、席を立つ。
つくしが、いま何を思い、何を考えてるのかは解らないけれど‥‥
たまには、踏ん張らないで、ゆらゆら流されてみなよ。
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