明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

〜アゲハ蝶〜 類ver

ラジオから曲が流れている。

隣で微睡む女の髪を撫でながら‥
ハハハッ と渇いた笑いが出る。

あなたに逢えたそれだけでよかった
愛されたいと願ってしまった。

耳にした歌詞が、俺の気持ちを代弁しているようで‥
涙がハラリと頬を伝わった。

目の前の女を、強く、強く抱きしめる。

「‥うんっ‥どうしたの?」
半分寝惚けながら、愛する女が俺に聞く。

「っん?どうもしないよ。俺の小鳥ちゃんが可愛いなぁと思ってね」

耳まで真っ赤にしながら、照れている
「もうっ 類ったら」
「嫌い?」
「‥‥嫌い‥じゃないよ‥」
「じゃ‥」

それ以上は、言わないでとばかりに、ベッドから飛び起きる。

「つくし‥」
「シャワー浴びてくる。そろそろ時間でしょ?」
「あぁ‥‥」

そう言い残して、バスルームに消えて行く。

つくしの消えた後に、ゴロンと横になりながら
つくしにとって、俺の存在って何なんだろう? そんな事を考える。

俺にとってのつくしは、今も昔もいつでも極上の幸せを連れてくる存在だ。
胸が張り裂けそうな程に苦しい思いも連れてくるけどね。

シャツを羽織って、頭をゴシゴシ拭きながら
「あっ、類、寝ちゃダメだよ」

「あい。うんっ あっ、俺のシャツ‥」

「類のシャツは、新しいのを用意してあるから大丈夫」

花咲く笑顔で、笑いながら、俺の鼻を弾く。

あんた、それ誘ってるの?
 そう思う様な可愛い笑顔でね。


つくしと俺は時折抱き合って眠る。
ついばむ様なキスをして抱きしめる。


だけど‥‥それ以上は手を出さない。
いいや、それ以上は手を出せない。

欲しくて、欲しくて、たまらない。
だけど、つくしが消えてしまったら?
そう考えたら、怖くて怖くてたまらない‥

つくしは、真っ暗闇に光る一条の光だ。
君に出会って世界に色がついた。真っ暗だった世界が明るく光り輝いた。

傍にいるだけで、見守るだけで良かった。そう思っていたんだ。
親友の彼女で、心の一部。それでいいと思っていた。

司が、記憶を失う迄は‥‥
あいつなら、つくしの事を必ず思い出すと思っていた。
それなのに、あいつはつくしを思い出さない所か‥‥
つくしを傷つけ、疎んじて手酷く捨てて、NYに行ってしまった‥

残されたのは、抜け殻の様なつくしだった。
どこか儚い笑みを覚えたつくしだった。
眠れなくなったつくしが倒れた日‥‥死ぬ程に走った。
心臓が止まってしまう程に‥
放っておけずに、花沢に連れ帰った。

どこの馬の骨を連れてきたんだ‥そう詰った父も‥
今では、つくしが大のお気に入りだ。

ぎくしゃくしていた、俺と両親の仲を、つくしは繫いでくれた。
誰かの為に、何かをしている時は、元のつくしに戻って、元気になるんだから不思議だよね。

「あっ、またゴシゴシ拭いて‥ドライヤーもってきて」
「はーい」
クスリと笑いながら、バスルームに消えて行く。


「はい」
ニッコリと童女の様に笑って、ドライヤーを俺に差し出してくる。
膝の上に座らせて、髪を乾かす。

それにしても‥この姿態‥‥無防備過ぎる。
襲って欲しいの? そんな風に聞きそうになるよ。

司が記憶を喪って、もうすぐ8年の歳月を迎えようとしている。

どこか遠い所を見る仕草は、最初の頃に比べてめっきりと減った。
少しづつ、少しづつ、憂いを帯びた瞳が、儚い笑顔が、陰を潜めて行く。
屈託のない笑顔の、つくしに戻ってきた。

時折、そう時折、空を見上げ、どこか遠い所を見る。
とっても美しい美しい笑顔で。

この笑顔が俺のものになればいい‥そう願ってしまう。

だけど‥‥蝶は空を飛ぶから美しい。

だからお願いです。自由な心で自由な君でいて下さい。
そう願う。


「類、ちゃんと乾かしてー」
ぷくぅーっと、頬を膨らまる

「あんた、文句多過ぎ」

「ぷぷっ たしかに。えへへっやってもらってってだよね」
ニッコリとニッコリと笑った。



俺の幸せ。
俺の全て。

この笑顔を守れるのなら、俺は何も要らない。



だけど‥‥
どうか、お願いです‥‥自由な心で、自由な君で
俺を愛して下さい。

 どうか、どうかお願いです。




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あなたが蝶ならば の対の物語になります。

ポルノグラフティの アゲハ蝶をイメージして♪♪
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2 Comments

asuhana  

yukikoさま

切ない類。大好物ですw

つくしが心の底から、類を愛する。
うん。うん。
そうだよね。

2016/06/13 (Mon) 00:30 | EDIT | REPLY |   

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2016/06/12 (Sun) 16:26 | EDIT | REPLY |   

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