君の天使 14 司つく

気合いを入れた筈なのに‥
アレッ？
　アレレ？

アチャー　
受付で手間取ってるよ
アタシ、出端を挫かれましたぁー状態だね。

ククッ、しかもだしかも‥‥

うんっ。やっぱり！
こういう事なんだと思う。

ホラ、ホラ

サン、ニー、イチ、ゼロ
「牧野、おまえ‥何やってんだ？」

グットタイミングだね。

司の天使と目を合わせ、頷きあって笑い合う。
オレ達が、なんも動かなくても、一旦動き出した歯車は、カチコチカチコチ動き出す。

これが、運命。
これが、宿命。
これが、ミラクルだ。

なのに、なのにだ‥‥
「ヒョッ」

つくし、折角綺麗にしてきたんだから、ヒョッは無いよね？

「ぷっ」

司が吹き出した瞬間‥周りの時間が止まったように、みんなの視線が、一斉に注がれて‥

まるで、あり得ないものみちゃいました‥それが何か？状態になっている。
人間ひとって、あり得ないものを見聞きした時って、みんな同じ様な顔になるんだね。

オレ、なんか感心しちゃったよ。

「ヒョッて、なんだよ。ヒョッて‥ったく、おまえ相変わらずだな」

驚きつつも、周りの目は、耳は、２人に釘付けだ。

当のつくしは、後ろ手で頭を掻きながら
「あははっ‥‥」
と、消え入りそうに笑ってる。

司が、くっ付いていた秘書の尾形に、なにやら一言二言指示を出し、尾形を残して歩き始めた。

つくし‥あからさま過ぎる程に、ホッとした顔をして、司を見送‥‥
トントン、トントンと肩を叩かれて、後ろを振り返った。
「牧野さん」
誰かから声なんかかかるわけない、と思っていたつくし‥
「ヒィッ」

「‥あっ‥す、す、すみません」
人の好い尾形、つくしをビックリさせてしまった事に、恐縮しきり。

「い、い、いやっ‥やっや‥やっ‥こちらこそ‥ご、ごめんなさい」

2人で謝り合って、お互いに感じる。この人は悪い人じゃないっていう思い。

受付に行って、何やら指示を出している
「‥‥彼女のビジターパス、発行して貰えるかな？」
「はい」

先ほど迄は、何？この女？状態だった受付嬢‥そして、唖然と一連の動きをみていた受付嬢。
つくしに対して、手の平返したように、美しい笑顔で微笑んだ。

なんでって？
ミラクルを見たから‥
笑わない男が、吹き出したんだよ？そりゃぁ、手の平も返したくなるよね。

無事に、シールになったビジターパスを渡される。
尾形の後を、カルガモのように付いて行く。

で‥‥案の定と言うか‥なんと言うか‥

ついた先は‥　

アハハッ
そりゃぁ、そうだよねの　専務室‥


「あ、あの‥尾形さん」
「ハイッ？」
「何故に専務室ですか？」
「契約書お読みになってますよね？」


ヒョエェーーーー　つくしの顔はムンクの叫び。

ククッ　だから心配したのに‥ククッ






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