君の天使 16 司つく
コフンッ 小さく咳をして、意識を反らしてる。
尾形は、どうやら色んな事に気がついたようだ。
司の機嫌がすこぶる好い理由。
未だかつて見た事がなかった笑顔を見た理由。
そして‥
目の前のつくしが司の想い人で、
つくしの想い人も司で‥
でもってだ、
つくしは、ビックリするくらい旨い珈琲を淹れてくれて、
中々もって、人が好さそうだって事にまで気がついた。
で、はたと気がついた‥んだ。
この2人が上手くいけば、もしや自分の仕事も楽になるんじゃないかって事に。
尾形は、ムフムフッと、ほくそ笑む。
鼻唄まで歌いだしそうな雰囲気だ。
多分‥いや間違いなく‥この男、役に立つだろう。
司の天使を見れば、オレにウィンクしてる。
だよね!
オレも、慌ててウィンクを仕返す。
なんだけど‥オレ、ウィンク苦手で両目瞑っちゃうんだよね。
司の天使は、クシャクシャと笑ってる。
天使のオレにだって、優秀なオレにだって‥そりゃぁ、苦手な事くらいあるさ。
ふわぁ〜
この頃、ちょっと眠いんだよね。
おぉっと、つくし、つくしだった‥
って、司の天使を見れば、コックリコックリ舟を漕いでいる。
ククッ この時期眠いよね。
「尾形、牧野に仕事内容の説明をしてやってくれ」
「はい」
「牧野、コレ」
司が手渡したのは、プラチナの社員バッジと社員証。
マジマジと社員バッジを眺めながら‥
「プ、プ、プラチナ?って‥本物?ひゃー流石道明寺HDだわっ ビックリ」
ぶつぶつぶつぶつ独り言を言っている。
司は、クククッ と笑いながら
「その社員バッジと社員証は、専務室の奴だけのもんだ」
事も無げにそう言った。
「へっ?って、なんで‥道明寺‥いつからエスパー?」
クククッ笑いが、大笑いに変わり
「エスパーじゃねぇよ。お前の独り言」
慌てて口を押さえたつくし‥‥
もう遅いと思うよ。
尾形を見れば、一生懸命笑いを堪えている。
司の天使は、クスクス笑ってる。
無機質だった専務室が、温かい空気に包まれていく。
ふわぁ〜
あははっ、司の天使‥この空気に包まれて、
またまた眠くなってきたいみたいだね。
つくしの影響かな?
尾形が、つくしを引き連れて、あれやこれや説明を始めた。
「えっ、それって‥秘書の方の‥お仕事では?」
「はい。専務付きですから、なんでもしますよ。これも契約書の方には書いてあったんですけど‥」
「‥す、す、すみません‥」
尾形は笑いながら‥
「いやいや、突然ですもんね。忙しいですよね。あとで契約書の控え書類をお見せしますね」
「あっ、はい‥有り難うございます」
と言いながら、連れて来られたのが
営業推進部* だった。
「やっぱり*付きなんですね。紛らわしくないですか?」
なんて事を尾形に聞いている。
「紛らわしいですよね。なんで、もうじき名称が変わるみたいですよ」
「うんうん。そうですよねー」
「おはようございます」
尾形が声をかける。
カチャリッ
各ブースから、ぞろぞろと人が出てくる。
その数8名。尾形とつくしを入れて10名が、この部屋の主達だ。
8名に囲まれて
「牧野つくしです。本日よりお世話になります」
ペコリと頭を下げた。
「了解」
「OKっす」
「はーい」
「よろしくーー」
口々に口にして、一通り自分の名前を名乗ったら各々が部屋に戻っていく。
「な、なんか‥凄いですね」
「凄いですよね。専務秘書課内勤チームですからね」
「秘書課?」
「あっ、さっき言った名称変更後の名前です」
ニッコリと笑う。
クスクスと、尾形とつくしの後ろを付いてきていた司の天使も笑う。
アレッ?
なんかあんのかな?
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