君の天使 17 司つく
「はいっ。何でしょうか?」
「つかぬ事を、お聞きしますが‥」
「はいっ」
「専務秘書課って、言うのは?」
「基本、専務の秘書です。秘書って解ります?牧野さん、秘書検持ってるから解りますよね?」
「えぇ‥額面通りには‥」
「じゃぁ、それです」
尾形は、誰が見ても憎めない様な、人懐っこい顔で、ニコッと笑う。
わかったんだか、わかんないだかの説明を受けて‥でもなんとなく、笑顔に騙されて
「はぁ‥」
と、返事を一つしている。
オレが思うに‥なんかもう面倒になちゃった感じだね。
まぁさぁ、どう足掻いた所で、状況は変わらないもんね。
だったら‥よくわかんなくても、とりあえず、納得するしかないからね。
「で、さっきのは、内勤チームでして、外勤チームが、僕と、調所さんと、牧野さんになります」
「へっ?」
「あっ、これも契約書に明記されてます。
で、調所さんなんですけど‥
この方は‥まぁ、なんと言いますか‥」
契約書に、明記されてます。その一言がつくしの頭を占めている。
《 ひゃっ、契約書‥読んでから判押せば良かった‥》
尾形が笑いながら
「牧野さん、また独り言出てますよ」
つくしは、あははっと笑って、後ろ頭を掻いている。
「‥‥で、調所さんなんですが‥」
「あっ、はい」
「この女性、専務の婚約者候補なんですよ‥
って言っても、勝手に役員からあてがわれてるだけでして‥なんも関係ないんですけどね」
一拍遅れて
「‥‥あっ、そうなんですか‥」
なんとも言えない気まずい空気が流れた瞬間‥
強い芳香と共に
「おはようございまぁ~す」
甲高い声がした。
「あらっ、あなたはどなた?」
尾形が、小ちゃな声で
「彼女が、調所さんです」
「調所さん、おはようございます。
こちら本日付けで、同所属になりました、牧野つくしさんです」
「お見かけしないお顔だけど、庶民の方かしら?オホホッ」
つくしが、顔を引き攣らせながらも
「あっ、はい。無印良女の牧野つくしです。
どうぞ宜しくお願い致します」
きちんと挨拶して、ニッコリとニッコリと笑った。
調所お嬢は、キョトンとして‥
尾形は、肩を震わせている。
この匂いは、全くもって頂けないけど‥‥
キョトンとしてるあたり‥ある種の天然ちゃんなんだろうね。
つくしも、そう思ったのか‥もう一度、ニッコリと笑った。
笑顔に魅せられたのか?調所お嬢が‥
「牧野さん、いいえつくしさん‥
私は、調所杏奈。
私、あなたとお友達になって差し上げても良くってよ」
随分と斜め上からの発言だ。
「ぷっ」
あぁあ‥尾形‥笑ちゃったよ‥‥
「うふふっ、じゃぁ、調所さん宜しくね」
ふわりと包み込むような笑顔を浮かべ、つくしが言ったんだ。
オレ、つくしのこの笑顔が好きだ。
邪気がない笑顔‥作り笑いじゃない笑顔。
キュンッ
誰‥?
胸の音の主は‥
あははっ 杏奈嬢‥
どうやら、つくしのふわりにヤラレチャッタらしい。
クククッ
これは、何のミラクル?
クククッ
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