君の天使 21 司つく
「で、この店はどうだ?」
「もっと一般的にするって事だよね?」
「あぁ‥」
「うーん‥ここはフラッグショップにして、残した方が良いんじゃないかなぁ」
「フラッグショップか?」
「うん。女子は、綺麗なもの、優雅なもの、雰囲気あるものに憧れるから‥アチェロ本店は、ちょっと特別。そんな感じで残した方がいいんじゃない?」
「そんなもんか?」
クスリッ と笑った後に、
「庶民は、そんなものでございます。道明寺専務」
つくしが、時計をチラッと見た瞬間‥
司の目に、つくしの時計が目に入る
「レベルソか‥お前が買ったのか?」
「っん?なに?」
トモからのプレゼントだ。
つくしは、この時計が一体幾らするなんて知らないけれど‥
指輪かどちらかを、プレゼントさせて欲しいと懇願されて、受け取ったんだ。
「‥いや‥‥」
「あっ、1時だよ。って、1時です道明寺専務。
午後からは、会議が入ってますので、そろそろ」
「あぁ‥」
社屋に戻った2人を待ち構えていたのは、ニンマリ微笑む、尾形と杏奈嬢。
尾形は、テキパキと司に資料を手渡しながら、午後の会議の説明を添えている。
つくしは、内勤チームの高瀬さんに諸々の資料と共に説明を受けている。
杏奈嬢は、つくしにへばりつきながら、ニコニコしてる。
「調所さん」
「つくしさん、調所ではありませんわぁ、杏奈です」
「‥‥‥杏奈さん‥仕事しましょうか?」
「私が仕事ですか?」
「えぇ、そうです」
「それは、どのようにですの?」
つくしは、ニッコリ笑って
「じゃぁ、あたしがお教えした通りにやってみましょうか?」
「はい」
その日一日が終える頃、
カルガモ杏奈嬢‥いいやカルガモ杏奈ちゃん、つくしに傾倒しきった。
「杏奈さん、飲み込み早いですね」
そうつくしに褒められれば、ポワッと頬を染め喜んでいる。
驚いたのは、内勤メンバーはじめ、他の秘書課の皆さんだ。
いつもなら、ヒラヒラ花柄ワンピース着ながら香水ブンブン振りまいて、
メイクのチェックに、スマホのチェック、紅茶片手に優雅に読書。
挙げ句の果ては、ランチが終わったら帰宅の杏奈嬢。
それが、仄かに漂う良い香りで、ビジネススーツに身を包み、
髪の毛なんかもビッシリ纏め上げて、つくしに付いて回りながらも雑用を担っているのだ。
杏奈嬢と一緒に出社していた婆やは、涙を流して喜びながら、邸に戻って行った。
周りは、目を丸くするしかない状態だ。
3時休憩には、誰とも無く言い出して、つくしに付いた渾名は、猛獣杏奈使い。
帰りのロッカールームでは、各フロアー、その話題で持ち切りになった。
「ねぇねぇ、それってもしかしたら、専務を微笑ませてた女性じゃないの?」
朝の場面に出くわした、受付嬢達が言い出して‥
《 牧野つくし 》 瞬く間に、道明寺HDの有名人になっていく。
クククッ
これも一つの ミラクルだ。
カチコチカチコチ‥一旦動き出した歯車は、止まる事を知らない。
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