君の天使 22 司つく
「調所さーん、お昼行かなーい?」
杏奈嬢に、お誘いの声がかかる。
「はーい」
嬉しそうに、お財布もって皆に駆け寄って行く。
ひと月も経つ頃には、すっかり皆に溶け込んだ杏奈嬢。
彼女が皆に溶け込むと共に、猛獣使いのつくしは、女神として、その名を馳せて行く。
「ねぇねぇ、知ってる? この前‥エントランスで、専務が大笑いしてたんだって」
「えっ、マジマジ?いやーん見たかったぁ」
「でもでも、その後って‥だったらしいよー」
「「「えっーーーーーーー」」」
っん?気になる? ククッ 聞きたい?
じゃぁ、ちょっとだけね
パチンッ!
「ですから、今日は向こうに出社する日でして」
「はっ?何言ってるんだ?」
「はっ?って‥はっ?じゃないですよね?」
「あんっ?はっは、はっだろうよ。バカ女」
「はぁーーーーーっ? 今、バカ女っておっしゃいましたよね?バカ女って?」
「あぁ。言ったよ」
ピキピキと音が聞こえそうな感じに、米神が震わせながら‥
「‥‥‥専務、契約書はお読みですか?そちらに書いてあると思うのですが」
「お前こそ、隅々迄契約書読んだのか?」
「はいっ?」
「時間的余裕があれば。っ記入されてただろうよ。
今のお前のどこにそんな余裕があるんだ?」
ケケケッ 勝ち誇った声が笑い声が聞こえた。
すげぇ、楽しそうな顔に
つくしは、ググッと両手を握りしめ、ギリギリと歯を食いしばり
司にしか聞こえないように、ポツリと呟いた。
「‥莫迦男」
「はあっーー?」
立ち止まって、いう司に
ニッコリ笑って
「どうされました?道明寺専務」
コツンコツンとハイヒールの音をさせながら、颯爽と抜きさった。
それを慌てて追い掛ける司‥
パチンッ!
会話の全部が聞こえてるわけじゃないけど、
否、
全部が聞こえないからこそ、憶測が憶測を呼ぶ。
何しろ‥ 沈着冷静、何事にも動じない道明寺専務が‥
一介の秘書を前に、ありとあらゆる表情をみせるのだから。
蕩けてしまいそうな甘い表情から、
ガキ大将のように、意地悪な表情まで、
今迄見せた事のない表情を見せるのだ。
しかも、杏奈嬢が素敵になって、
「つくしさん、つくしさん」
とカルガモしていれば、噂にもなる。
カルガモ杏奈嬢を、愛おしくて愛おしくて堪らん祖父様は
あまりの杏奈嬢の変わり様に、
道明寺HDとの間で、難航していた契約を、たった、一つだけ条件を出して‥快諾した。
政略結婚?
そんなことを課せた日には、お祖父様達を大嫌いになります。と杏奈嬢に釘を刺され、花と散ったよ。
じゃあなんの条件かって?
その条件は、司に追い風を与え、つくしを悩ませた。
クククッ
調所の祖父様‥中々のもんだね。
いや、杏奈嬢の口添えか?
えっ?どんな条件かって?
つくしが、道明寺HDに在籍し続ける間は、契約を維持するっていう条件だ。
ぐふふっ
つくし‥ある意味‥雁字搦めだ。
クククッ
杏奈嬢、ニンマリ 尾形も、ニンマリ
つくしは‥‥ゲンナリ?
クククッ
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