君の天使 23 司つく

トモから、LINEに連絡が入る。

今日は、時間大丈夫そう？

トモのメッセージを見つめながら、ため息を吐いて返信を出す。

ごめんね。今日もダメみたいです。
また連絡します。

「はぁっー‥」

後ろから近づいた影の手で、目を隠される。
「ヒャッ　だ、だ、誰？？」

「つくしさーん。私です。わ、た、し」

影の手の正体は、杏奈嬢。

「あははっ‥杏奈さん‥」
「つくしさーん、お久しぶりです。丸一日ぶりですぅ」
「あははっ、そうだね‥‥」

「今日は、社屋内勤務ですか？」
「そうかな‥」

社屋に居る時は、カルガモ親子宜しく杏奈嬢が付いてくる。
その光景に苦虫潰してるのは、司。

その代わり‥嬉々として社外に連れ出す。
会食のないお昼には、視察と銘打って、ランチに連れ回し、会議、パーティー全てにつくしを同伴させている。

だけど‥何一つ、核心には迫ろうとしない。
レベルソの時計の事だって、そうだ。
時計を見る度に、誰に貰ったのかが気になっている。
それなのに‥聞けないんだ。
拒絶されるのが怖いから‥なのかな？

プライベートな事を聞こうとすると、つくしは頑に、殻を作る。

司は、つくしが今現在誰と付き合っていて、
どんな人生を送ってきたって事くらい、書類の上でなら百も承知だ。

だけど‥本人には確かめられないでいる。

司は、２回つくしに振られているらしくてね‥
その事が、かなりのトラウマに、なっているようなんだよね。

何にでも自信のある男の唯一の弱点‥‥それが《　牧野つくし　》だ。

ぶっちゃっけ‥‥不思議だ。
オレ、つくしは好きだよ。とても魅力いっぱいだしね。
でもさぁ、司ほどのいい男‥ちょっとだけ他に目を向ければ、女に不自由なんてしないんだよ。

なのに‥つくししか目に入らない。

なのに‥つくししか求めない。

何でも持ってる男が、唯一無二に求めるのが《　牧野つくし　》だ。

自信満々の男が‥
つくしには、臆病になっている。

クククッ　不思議だね
司を知れば知るほど、可愛く見えてくるんだ。

オレ、つくづく思った。
特A狙いで良かったって‥オレがもしA狙いの天使なら、つくしと違う男をくっつけてたよ。
トモもそうだけど‥鷹なんて、中々いい男だったんだ。

そしたらさぁ、つくしの飛び切りの笑顔も、司の飛び切りの笑顔も知らないで過ごすとこだったんだもんね。

司の天使も、きっとそう思ってるんだろうね。


それにしても‥なんで、つくしはこんなに自分を好いてくれてる相手を袖にする事が出来たんだろう？
自分も、好きで好きでたまらない癖して‥


朝のかけ声も、0時丁度に‥ネックレスを抱きしめて、ぼんやり遠くを眺めるのも‥

司が原因だろ？




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