被虐の花 19 あきつく
最後の一滴は、紅茶の後味を良くするとともに、あたしのあきらさんへの愛が入っている。
あたしの思いは、報われなくてもいい。
こうして毎朝愛する人に、美味しいお茶を淹れる事が出来れば、それで良い。
2人で蚤の市に出掛けた時に、買ったティーカップ。
ピンクのグラデーションにパトリシアローズが描かれている。
彼の唇が、ティーカップに触れる。
うっとりと見惚れながら、ティーカップになりたいと思う自分にあきれ果てている。
「っん?」
あたしは、慌てて首をふり
「何でもありません」
あきらさんが、手招きをしてあたしを呼んでいる。
意地悪な瞳をしながら
「今、変な事考えてたよね?」
フルフルと首を振る。
「言わないの?」
ティーカップになりたいです。なんて言えるわけもなく押し黙る。
「じゃぁ、ここにおいで」
膝の上に座らせられて、胸を弄られる。
指で、思いっきり摘ままれて、声が出そうになった瞬間に、口を塞がられる。
「声出しちゃダメだよ」
その一言で、あたしの奥底からジワジワと快楽が押し寄せてくる。
「興奮した?でもお預けだよ」
膝から降ろされそうになった瞬間に‥机の上の電話が鳴る。
いつもと変わらぬ朝だった。
いつもと変わらない日の筈だった‥‥
* *
いつもの笑顔に迎えられ、いつもと同じ朝が始まる。
丁寧に淹れられた紅茶が、目の前に置かれる。
つくしと2人で選んだティーカップ。
視線を感じて振り向けば、つくしが俺を見つめている。。
何を考えていたかを聞いても答えない。
手招きをして、膝の上に座らせた。ただつくしを感じていたかったから。
自然に、つくしの胸を弄っていた。頂を指で摘む。声が出しそうになるのを手で塞ぐ。
つくしの瞳が潤み、俺の劣情を誘う。
つくし自身は気がつかないけれど‥天性の妖婦だ。
潤んだ瞳は、男を誘い、白い肌は男を惑わせる。
この女のためならば、何を捨てても構わない‥そんな気にさせる。
この辺で辞めておかなければミイラ取りがミイラになると自重して、つくしを膝から降ろそうとした瞬間
机の上の電話が鳴り響く。
「ヨッ あきら久しぶりだな」
「あぁ‥」
受話器の向こうから‥
久方ぶりに聞く、友の声がする。
「10時メープルのバーで待ってる。牧野も連れて来いよ」
ツーツーツー
返事をする間もなく、切れる電話。
つくしをギュッと抱きしめ、貪るように求めていた。
唇を噛み締めて、声を抑える女が愛おしい。
「逝くよ」
つくしの中に思いを放つ。
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