被虐の花 20 あきつく
刹那
迫田に、組み敷かられて虚ろな目になりながらも嬌声を上げていたつくしを思い出す。
白い肌が、快楽でほんのりとピンク色に染まっていた。
その姿に劣情した‥
つくしは、俺と目が合った瞬間‥美しく妖艶にそして哀しそうに‥微笑んだんだ。
狼狽えた瞬間‥つくしが迫田の手によって、突き落とされていた。
つくしが落とされたのは、一瞬の行動が遅れたから…悔やんでも悔やみきれない。
なのに…あの顔が忘れられない。
抱けば抱くほどに、愛しおしが込み上げる。
つくしの全てを、自分のものにしてしまいたい。
家の中に閉じ込めて、外など出したくはない。
俺だけしか見えなくなればいい。
自分以外のものになるのなら‥
迫田の様に‥
いつの日か、俺自身もつくしを手折ってしまうのでは無いかと、恐怖が襲う。
つくしが歪んでいるように、俺もどこかで歪んでいるのだろう。
「つくし‥」
「はい」
「10時にメープルだ‥あいつ等がくる」
「先日お会いしたばかりですし、私はご辞退させて頂いてはいけませんか?」
「‥‥いや‥司が来る」
つくしの表情がみたくなくて、席を立ち上がり窓の外を見た。
西の方に雨雲が見える。もう直ぐ、雨が降り出すのだろう‥
つくしの返事は聞こえない。
* **
時計が9時半を指し示す頃‥
「‥あきらさん‥やっぱり‥私は‥」
「司は、つくしに会いたいんじゃないかな?」
「あたしは‥‥‥」
「取りあえず、顔を見せない事には、またしつこく誘ってくるんじゃないかな」
つくしは、無言で下を向く。
「おいで‥」
腕の中に抱き寄せて、項にキスをする。
「落ち着かないなら、付けてあげようか?」
下を向いて、コクンと頷いている。
「ロッカーに入ってるだろ?持っておいで」
夜になって、疲れが出て来たのだろう‥
ほんの少しだけ足を引き摺りながら、控えの部屋に消えて行く。
つくしの中に、管理される喜びを与えてしまったのは、
是なのだろうか?非なのだろうか?
「‥あきらさん‥」
「っん?‥ちゃんと口に出して言う約束だよ」
「つくしが浮気をしないように、お付け下さい」
「あぁ、おいで」
スカートのホックを外して、ファスナーを下げる。
スルリとスカートが落ちて、何も身に付けてない下半身が露になる。
儀式のように、厳かにつくしの身体に、貞操帯をつける。
身体が守られ、ホッとしたのだろう‥‥
ゾクゾクするほどに、無防備な表情をする。
スーツから、白い肌と黒髪に似合う、真っ白のワンピースに着替えさせ、仕上げにエスクラバージュネックレスをつける。
大人の美しさと、童女のあどけなさが同居する妖婦。
つくしに見つめられ、触れられて、彼女を欲しない男などいるのだろうか?
俺は、つくしに囚われている。
あの後、降り出した雨は、まだ止まない。
バシャバシャと音を立て雨が降っている。
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