君の天使 27 司つく
「誰だ?」
「えっ、えっ」
見知らぬ声に恐怖して、次の瞬間‥
「キャァッー」
突然の大声に、男は驚き、声を上げた彼女を抱きすくめた形になりながら
「ご、ご、ゴメン‥‥つくしの香りと一緒で、それに後ろ姿が‥」
慌てて釈明する男の口から、〝つくし〟の名が出て、冷静さを取り戻した杏奈嬢は、上を見上げる。
3、2、1、ゼロ
リリリリリーン リリリリーン リリーン
杏奈嬢の上で、高らかにベルがなる。
目の前の男に、恋をする。熱烈な恋をする。
あははっ、 ミラクルが訪れる。
「本当に、ゴメン‥あんまりにも彼女に似ていたんで」
「彼女?」
「あっ、ゴメンね。うん。俺の彼女、今日ここに来る事になってて、同じ香りで、後ろ姿が良く似てたもんだから‥本当にゴメンね」
「それって、つくしさんの事ですか?」
「あっ、うん。‥うんと君は、つくしの同僚?」
「あっ、はい。調所杏奈と申します」
「あぁ、そうなんだ。うんと‥杏奈さんはもしかして調所の爺様の?」
「あっ、はい孫になります」
「あぁ、そうなんだ、爺様の自慢の孫娘さんだ。俺、寺沢朋生。よろしくね」
トモがニッコリ微笑んだ。
杏奈ちゃんは、複雑な表情で
「宜しくお願いします」
と挨拶をした。
「あっ、あの‥」
「あっ、あの‥」
2人の声が重なる。
どーぞとばかりに、杏奈嬢が首を傾げる。
「じゃぁ、お先に。うんと、杏奈さんも今日の会食に?」
「あっ、はい。寺沢さんもですか?」
「うん。これから入る所で、君を見かけて‥って、本当にゴメンね。ビックリさせちゃったよね?」
「あっ、それは‥だ、だ、大丈夫です。あの‥」
「うんっ?」
色男、爽やかな顔して首を傾げる。
杏奈嬢、ポッと顔を赤らめる。
「あっ、やっぱりいいです」
2人並びながら、歩いてく。
うーん、美男美女、様になってるよ。ふぅーん♪ 中々良いよね?
そっか、そっか。
つくしと司は、特Aなんかじゃなくって‥‥超特Aなんだ。
そっかぁー、 天使生活彼此れ‥‥年、噂では聞いた事あったけど、
これが‥‥そうなんだ。
って、ことは、やっぱりあの2人、きちんとくっ付いて貰わないと、オレも司の天使も、大変な事になっちゃうや。
うん。気張って行かなきゃね。
あっ、超特Aって事は? そっかぁ、うん。決めた。
* **
尾形っちは、舟を漕いでいる。
うーん‥‥この男ただものじゃないよね?
張りつめたこの空間で‥よく寝れるもんだ。
うぅーん。凄いなぁー
えっ、何が張りつめてるかって?
そりゃぁ、司とつくし。
この2人、さっきから言葉を交わさないどころか、目も合わせない。
何となく、部屋の中に暗い何かが漂っている。
辛気くさいったら、ありゃしない。
もうそろそろ2人共、素直になっちゃいなよ。
うーん ヨシッ
アタシは、ほんの少し窓を開ける。
部屋の中に強い風が舞い込み、バタバタッと音を立てて書類が舞う。
書類を拾おうとした司と、つくしの手が重なった。
2人の手が、目が、絡み合う。
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