明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

紅蓮 06 つかつく

否、正確に言うと、この時のあたしは、まだ気が付いていなかった。
久しぶりに会えた、桜子と西門さんの存在が嬉しくてたまらなかったから。

後悔先に立たず‥まさしくだ。
2人がいる間、宗谷は始終笑顔だった。
和やかに食事がすすみ、10月の西門さんのお披露目のお祝いとして、宗谷に伝わる茶碗を譲る話しまで出た。

茶人ならば、誰しもが欲しがる茶碗。
国宝級のお茶碗だ。値段をつけるつけない以前の問題だ。

驚く西門さんに
「西門は、つくしの実家ですし、若宗匠は、つくしの大切な兄上ですからね」
薄い唇で、微笑しながら答えていた。


宗谷の機嫌の良さに安堵して、あたしは、化粧室に立つ。
袂に隠した、文を読む。
文に記してあるのは、類の美作さんの、そして司の近況。

小さく小さくちぎって、水に流す。
水に溶ける紙を使って、桜子が時折こうして皆の近況を教えてくれる。
もう一度、読み返したかったけれど、あまり長いと怪しまれるから。

司を思う。どう足掻いても、共に幸せになれない、恋しい人。

伽藍堂の心に唯一咲き誇る、紅蓮の花。
真っ赤な血を流し続け、咲き誇る紅蓮の花。
死ぬ程に心が痛む。
だけど、生きていることを実感する。
伽藍堂の心に、紅蓮の恋が咲き誇る。

「つくし様、どうされましたか?」
化粧室の外から、山下の声がする。
化粧室に立つのでさえ、目が光る。特に、誰かが来た日はそうだ。

「あっ、はい。帯が少しきつかったもので、少しだけ緩めておりました」
そう言って、化粧室の外に出る。

廻り廊下を歩きながら、外を見る。
夜桜は舞い続けている。美しくも妖艶に舞い続けている。

部屋に戻ると、貴腐香の独特の匂いが立ちこめていた。
グラスに注がれる貴腐ワイン。


高貴なる腐敗‥
目の前で、微笑む美しい男と一緒だ。
宗谷の闇は、どこから来ているのだろう?
ふと、そんな事を考える。





*貴腐ワイン‥カビに浸食された糖度も芳香も高まったぶどうから作られる極甘口のワイン。

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