紅蓮 40 つかつく
「どことなく、つくしに似ていませんかね?」
返答に困る問いをした後に、楽し気に微笑みながら
「この軸を書いた晴雨は、乱れ髪に異常に興奮する画家でしてね‥」
嬉し気に、滔々と語る。
「この絵のモデルになっている女性は‥」
どうでも良い話を滔々と、滔々と語る、あたしの夫。
あたしは、この男が嫌いだ。
だけどこの空間で、一番の大罪を冒しているのは、宗谷ではない‥あたしなのだ。
曲がりなりにも、宗谷はあたしの夫なのだから。
世間的には、愛する妻を、一切合切の俗世の迷い事から守り抜き、贅を与え、着飾らせる、出来た夫なのだ。
「若宗匠も、道明寺さんも、黒髪に白い肌の女性はお好きですかね?」
美しく整った薄い唇が、ぬらぬらと光って見える。
チロリチロリと舌を出す大蛇のように‥光って見える。
「あぁ、女性としての風情がありますからね‥司も,好きだよな?」
「そうですね‥長い間、海外に暮らしているせいか、昔よりも、恋い焦がれているかもしれませんね‥‥」
司が、宗谷をじっと見据えて、返事をしている。
「つくし、お二方とも、白い肌と黒髪がお好きなようだよ」
野卑た笑いを浮かべ、あたしを抱き寄せる。
「では‥その内、私が描いたつくしの姿絵を、お二方にもご覧頂こうかな‥」
宗谷が、声を出して笑い、あたしは横で微笑する。
心を殺して、微笑する。
極楽浄土には、行けないあたしの目の前に広がる庭を、眺める。
温室から逃げて来たのだろうか?
寒い夜だと言うのに、蝶々が飛んでいる。
あの蝶々は、花を探さなくても良いのだろうか?
こんなに寒ければ、すぐ死んでしまわないかしら?
それでも‥外に出れたのは、幸せなのかしら‥‥
「蝶々‥」
小さな声で呟いた‥
男3人が、一斉に窓の外を見る‥
蝶々が舞っている‥
あたしの命はこればかりと、美しくひらひら舞っている。
「温室から逃げ出したのか‥逃げて行かないように、もっと厳重に管理をしなければいけないね‥」
モット ゲンジュウニ シナケレバ イケナイネ
別に、あたしに言ったわけではない。そう自分に言い聞かせる。
手が小さく震える。
空調の整えられた室内が、とてつもなく寒く感じる。
宗谷の手が、あたしの手を掴む。
「申し訳ない‥少し席を外させて頂くよ」
司と、西門さんに、宗谷が断りを入れているのが聞こえる。
フワリッ、 宗谷があたしを抱きかかえ、お部屋に連れて行かれて、ベットにそっと寝かしつけられる。
帯を解かれ、着物を脱がされ、襦袢姿にさせられる。
「苦しくはないか?」
心配そうな眼差しで宗谷が、そう問いかけて来る。
次の瞬間、股の間から血が伝う。
アフターピルによる消退出血が、起こったのだ。
「あの‥月のものが来た様ですので、永瀬を呼んで頂けますか?」
宗谷は、首を振りあたしの襦袢を捲り、秘部から伝う血を舐めとっている。
「やめて‥」
あたしの声も虚しく、宗谷の舌があたしの秘部を舐める。
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