ずっとずっと 36
肌を触れ合い道明寺を感じる度に、
あたしはあいつに溺れていく
狂おしい程に 溺れていく
泣きたくなるほどアイシテル‥…
だけど今は、教えてあげない。
あたしの胸の中だけの秘密
いつかあんたと結ばれた時、教えてあげる
10代最後の夏、あたしはあんたを死ぬ程愛し始めた事を‥
「明日帰んだなぁー 次は2月かぁ...長げぇなー」
「うん...」
次があるのが解っていても、傍を離れるのが淋しくて淋しくてたまらない。
司とあたし2人とも同じ気持ちなんだと思う。
「ドコでもドアがあったらいいのにね。そしたらいつでも会えるのにね」
「ドコでもドアって、ぁんだよ?」
「‥…」
そっかーお坊ちゃまは 知らないのか...妙に感心してしまった。
司があたしを抱きしめながら熟睡している。
あたしは、司を堪能する。
眉が好き。目が好き。鼻が好き。唇が好き。顎が好き。クルクルな髪の毛も、繊細な指を持つ大きな手も。長い足も。引き締まった身体も バリトンの声であたしの名前を呼ぶのが好き 司の匂いも、次の日の朝ほんのちょっぴり伸びた髭さえも愛おしい。
司が美しい男だからか?
いいやそうじゃない。あたしはあんたの魂の片割れだから、あたしはあんたを求めて止まない。
理屈なんてない。ただあんたが好き。
そっとそっと 起こさない様に、司の唇にキスをする。
ありったけの愛を込めて‥…
小さく小さく囁く
「司、愛してる。愛してるじゃ足りないくらい愛してる‥」
***
日本に帰国してから、2週間もしぃちゃんに会っていないのは始めてだ。
僕の心にぽっかりと大きな穴が空いたようだ。
彼女に出逢う前、どうやって暮らしてきたのだろう?
何をみて美しいとか、何をして面白い楽しいとか、何を食べて美味しいとか 思ってきたのだろう?
しぃちゃんが横に居ないだけで、全てがこんなに色褪せて見えるなんて‥…僕は知らなかった。
初めて出逢ったあの日、僕は一人の少女に恋をした。あまりにも愛くるしく笑う少女に‥…
桜の舞散る中で、君と再び出逢えた幸せに、神に感謝をした。僕を生かしてくれて有り難うと‥…
君を知れば知る程、僕は君に恋をする。
君には愛する男がいて僕の思いは叶わないと知りながらも僕は君に恋をする。
一緒に入れる幸せを堪能出来るのは僕だから。そう自分を慰めて‥…
叶わぬ思いに蓋をして、僕は君に恋をしてきた。筈だった。
たった2週間君に会えないだけなのに、心の均衡は失われつつある。
君を愛してる。君の全てを手に入れたい。と、心が叫んでいる。
君の傍らにいる為に、僕は僕の心にもう一度蓋をする。
*****
NYが遠ざかる。
愛おしいあいつが住む街‥…NY。
またあんたに会いにくるね。
関西空港に着く。
「しぃちゃん」
薫があたしを迎えに来てくれていた。
「楽しかったかい?」
「うん。でも寂しい‥…」
そっと肩を抱かれる。極々当たり前に‥…
あたしを慰めるように、あたしの肩を抱く
2人並んでいつもの様に、薫の住むペントハウスに戻る。
いつの間にか、ペントハウスで薫と過ごすのが当たり前の事になっていた。
***
NYから戻ってくる彼女を関空まで迎えに行く。
どんなに遠くからでも、それが彼女だとわかる燦々と輝く光を身にまとっている。
「しぃちゃん」
僕が君を呼ぶ。
ニッコリと可愛らしい笑顔で笑う。
NYで君は幸せなときを過ごしたんだね。
いつもよりも何倍も君の笑顔が光っている。
たった2週間会わなかっただけなのに‥…
眩いばかりの笑顔の中に、妖艶な雰囲気さえ漂っている。
「楽しかったかい?」そう聞くと
「うん。でも寂しい」
そう呟くしぃちゃん。
僕は君の肩をそっと抱きしめる。この思いに気がつかれない様にそっと抱きしめる
君が遠くに行ってしまわない様に‥… 僕は君を抱きしめる。
君を抱きしめ、やっと僕の手元に戻って来た事に安堵する。
同時に、君の身体についた残り香が鼻をかすめる。
君を一段と美しくしたのは間違いなく「道明寺司」だと思い知る。
解っていたのに
知っていたのに
僕の中の修羅が騒ぐ‥…
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