明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

紅蓮 57 つかつく

鋭敏に尖ったガラスの破片を、陽の光に翳す。
キラキラ輝いて、どんな宝石よりも綺麗だ。
「うふふっ」
この頃の、あたしのお気に入りの一人遊びだ。


あたしは、身体と心の自由を奪れて、
少しずつ狂いだしているのかもしれない。




「つくし奥様」
永瀬の声が聞こえて、タカラモノを袂に隠す。
「はい」
「失礼致します‥」
お盆の上の皿を見て
「果物は、お召し上がりになられたんですね」
「ありがとう。美味しかったわ」

月のものが来てホッとしたあたしは、ほんの少し、食欲が戻って来た。
次の排卵日までは、宗谷との営みも安心していられる。

宗谷は、あたしの身体に傷はつけないけれど‥全ての責め苦が無くなった訳ではない。
ただ単に、鞭打ちのお仕置きが無くなっただけだ。
「はぁっー」
大きく息を吐く。

来週は、西門さんの襲名式だ。
宗谷は、後援会理事として正式に西門をバックアップしていくらしい。
あの男は、あたしの泣き所を良く知っている‥‥

そうそう、宗谷があたしに与えた自由は、西門の後援会行事への参加だ。
可笑しくて笑ってしまった‥宗谷の息のかかった所への外出の、何が自由なのだろう?
あの男は、頭が可笑しいのだろう。


狂っているあたしに、頭のおかしな男は、案外お似合いなのかもしれない。
自虐的に、そんな事をあたしは考える。

「永瀬‥竹林でお散歩しても宜しくて?」
「勿論でございます」

外に出る。
竹林には光が差し。そよそよと風が吹いている。
椅子に腰掛け、目を瞑る。
どれくらいそうしていたのだろう?いつの間にか眠っていたようだ。

誰かが愛おしそうに、あたしの髪を撫でている。
温かな愛情に満ち溢れた温もりだ。

目が覚めたとき、隣には誰もいない。
竹林が見せた幻なのだろうか? 

風があたしの頬を、撫でていく。

突如として蘇る‥あの海の日の記憶が‥

燕が飛んでいたんだ‥あの日あの時。

あの人は、自由を得たのだろうか? それとも今もなお囚われているのだろうか?




* **
「美繭、一緒に此処をでよう」
そう言われたあの時、なぜ此処から飛び立たなかったのだろう?

おばあ様の事が気になって? ううん‥そうじゃない。
それは、きっと自分を納得させる上での言い訳にしか過ぎない。


私は、私の希望の光から離れられなかった。
小さな頃から、彼は彼だけはあたしの光だった。

屈託の無い笑顔で
「ねぇ、美繭」
そう呼ばれるだけで、幸福を感じていた。

2人で、月を肴に真っ赤なワインで乾杯した。
小さな頃の楽しかった思い出を2人で話した。
凌と話をする瞬間‥私は、無垢だった自分を取り戻していた。
酔った頭で思ったのは、凌の瞳に映る私は、本当の私よりも綺麗に見える。そんな事だった。
会話が途切れて
「美繭、好きだ愛してる」
そう言われ抱きしめられた時、私はあなたの手をすぐには、ふりほどけなかった。
抱きしめられた瞬間、身体が震える程に愛おしさがこみ上げて来た。
これ以上進んではいけないと、私の理性はストップをかけた。

「‥凌、もう酔ってしまった? じゃぁ、そろそろ寝ましょう‥おやすみなさい」
あなたの胸の中から、すり抜けて‥上手く冗談にした。

高鳴る胸の鼓動を隠して、自室に引き上げた。




この時点で、私はあなたの傍から離れるべきだった。
ううん。離れなきゃいけなかった。



だけど‥私はあなたを失えなかった。
あなたは、私のたった一つの希望の光だったから。







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