不惑 魅惑 困惑 蠱惑 類つく
40を迎えたら本当に悩みはなくなるの?
あたしは悩んでばかりの39才最終日。
ふぅーーー あたしの人生。なんなんだ。
道明寺に振り回され踊らされ続けた、10代、20代
ジェットコースターのような恋の終焉は、実にあっけなく終わってしまって
仕事に没頭して、気が付いてみたら30代に突入していて、ちょろっと恋もしてみたけれどいつの間にやら終わっていて、気が付けば、40の誕生日を一緒に祝おうとの約束もなく、迎えた不惑イブ。
えぇえぇこんな年末に生まれたあたしが悪いんですよ。とばかりに
川辺を歩きながら、石を思いっきり蹴っ飛ばす。
コツンッ 「痛っ」
い、今,コツンッっていった?
痛いって言ってるよね? ひゃーどうしよう‥…
なんだか身体の大きな男が足を痛そうにしている。
このまま、踵を返したくなるけれど‥…大人の女がそういうワケにもいかないと‥…
怖ず怖ずと声をかける。先ずは謝らなくてはいけない。
「あ、あ、あのぉ‥…ご、ご、ごめんなさい。足大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない‥… って、 もしかして牧野?」
慌てて頭をあげると、久しぶりに会う類だった。
久しぶりに会う類はと前にも増して魅力的で‥…ビックリしてしまった。
「るっ、る、類?」
「やっぱり、牧野だ。ククッ牧野らしい登場の仕方じゃん」
「あれ?あれ?あれぇー なんでココに?」
「っん?牧野に会いに来たとこ。牧野明日誕生日でしょ?」
「うっ、うん。誕生日だけど‥… なんで会いに来たの?」
「うん? やっと協議離婚が成立したんだ。だからプロポーズしにきた。」
そう言いながら飛っきりの笑顔で微笑んでいる魅惑的な男。
「あっ、あーのー それはどういった意味でしょうか?」
「っん?結婚しようって言いに来たんだ。牧野独り身でしょ?」
「‥…うん。」
「じゃぁさぁー いいじゃん。」
「いいじゃんって‥…」
「俺も独身。牧野も独身。何の問題もないよ。」
「いや、いや、問題大有りでしょ。」
「えぇーーー 何の問題?」
「だ、だってあたし達って、そういう仲じゃなかったよね?うん。なかった。」
「えぇーーーー 今さらいいじゃん。何ならこれから直ぐでもそういう仲になる?」
あたしの大好きだった笑顔で、魅惑的に笑う。
いやいや、いかんいかん しっかりしろ牧野つくし。
「あのですね、あたしはお付き合いもしてない人とは結婚しません。」
「うーーーん。じゃっ付き合おう。」
「えっ”」
「えっじゃなくて、はい。って言ってよ。ねっ」
「‥…」
「俺さぁ~、バツ一だけどお金もあるし、中々のハンサムだし、牧野には優しいし、なんなら家事とかも手伝うよ。あっ、五月蝿い事も言わないし、何よりも牧野が大好きだよ。どう?どう?中々のお買い得物件だと思うよ。ねっねっ」
お買い得物件。たしかにそりゃそうかも知れないけど‥…
セレブの人達に翻弄される人生ってーのが嫌なんですけど‥
困惑するあたし。
「うーーん。却下の方向で‥…」
「痛っ。痛っ、痛ぁーーー ズキズキする」
いきなりうずくまる類。
嘘だと思って、暫く放っておいたのだけど‥…一向に立ち上がる気配が無くて痛そうにしている類。
心配になって、あたしもしゃがみ込んで声をかける。
「類、大丈夫?」
「ダメ‥…」
「ちょこっとだけ我慢出来る? 3分くらい歩けば家なんだけど‥…」
「それって、牧野ん家に行っていいって事?」
「っう、う、うん。」
「なんとか‥…なるかな?」
片足を引きずるようにしながら、あたしの肩にもたれかかり歩く類。
「ココなんだけど‥」
「へぇーー 素敵な所だね」
30年ローンで買ったあたしの砦。フラワーマンション828号室。
「でしょぉー。うふふっ自慢のお城♪さぁーどうぞ」
エントランスロビーで治療して、少し休ませるだけのつもりが
褒められて良い気になって、軽やかに連れ込んでしまった。
「へぇーセンスよくしてるね。とっても居心地がいいね。」
「うふっありがとう。」
「あっ、これカッシーナじゃん。俺もここのソファー好き。」
「むふっ、実はベットもカッシーナなの。」
「へぇーー 凄いじゃん。」
「こんなご時世だからなのかなぁー ここのマンション買う時にね、モデルルームの家具が当たる!キャンペーンって言うのに応募したらね、な、な、なんと当たったのぉー凄いでしょ♪」
「そうなんだぁ。すごいラッキーだったね。」
「うん。ソファーもベットも最高にいい寝心地。って、類、寝ないでね。」
「ここ、10年、ぐっすり寝てないよ。不眠症ってやつ?」
なんて言ってた筈なのに‥…お茶を淹れて戻って来たら‥‥
すっかり夢の中の住人のちょい渋王子様。
うーん参ったなんて思って眺めていたら、年末の激務の疲れが不意に襲って来て、いつの間にか、あたしも寝てた。
深夜0時。あたしは類に起こされて
「ハッピーバースディ牧野」と、口づけされて‥…
類の口づけはとてもとても 蠱惑(こわく)的で、なんだか知らない内に、ご自慢のベットに倒されていて、何だかしらない内に朝を迎えて、何故だか婚姻届と、タンザナイトとダイヤで出来た指輪が、目の前に置かれていた。
「牧野、責任とってね。」
蠱惑的な男の微笑みに思わず判を押し、指輪を嵌めていた。
類の笑顔に 蠱惑 され、新しいスタートを切った不惑の四十
人生時には肩肘張らず、流されてみるもんだと。
魅力的な類の笑顔をみて思う。
そうそう、あたしの住まいは、相も変わらずフラワーマンション。
ただ最上階のお部屋。
あははっ、ここ、花沢所有のマンションで、カッシーナのソファーもベッドも類からのプレゼントだったんだって。
Happy Birth Day to Tsukushi
あなたの人生が幸せに包まれますように♡
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
- 関連記事
-
- 〜たったひとつのもの〜
- もう一度‥恋をした 類つく
- Yes, I know 類つく
- 妻は何かを隠してる 類つく
- 不惑 魅惑 困惑 蠱惑 類つく
- あのさぁ 類つく
- ヤドリギの下 類つく