もう一度‥恋をした 類つく
とっくに過去の恋だと思っていたのに、
また出逢って、類の瞳に恋をした。
類の瞳は恋泥棒。あたしの心を虜にする。
あんたは俺の恋泥棒。昔も今も俺の心は牧野でいっぱい。
あんたに出逢って、
なぁんだ〜 世の中って楽しいじゃんって知ったんだ。
それから何年経つんだろうね?
やっぱり、牧野あんたがいると世の中が楽しくなる。
毎日、ハッピーだねって叫びたくなる。
俺、知ってるんだ。もうじき牧野が素直になるって‥
俺、知ってるんだ。もうじきあんたが俺を好きになるって。
だってね、俺、魔法を掛けたんだ。
牧野あんたが、俺をもう一度好きになるって、恋の魔法をかけたから。
どんな魔法だって? ふふっそれは、企業秘密。
ちょっとだけ教えて欲しい?
牧野を、車に乗せる。眠った牧野の側で囁く。
俺を好きになる。好きになる。たまらなく好きになる。って。
うん。そっ、所謂、催眠療法ってやつ。
効果はどうか?って。効果は上々。
だって、牧野の瞳が俺を好きって言ってるもん。
会社を出ると、人垣が出来ている‥
まさか類? そのまさか‥
アレ?もしかして‥ 立ちながら居眠り中?
人垣を押し退けて
「類、類起きて‥」
あたしは声をかける。
「うーーーーん、おはよう」
ひゃぁー 本当に寝てたよ。
寝ぼけ眼も、しっかり王子で‥ドキドキしちゃう
いやいや、立って寝ちゃダメダメ。
「類、流石に立ちながら寝るのはやめよう」
「うーーん。牧野が毎日会ってくれたら良く寝れるようになるから、立って寝るなんてなくなるかも」
意味不明な事を、ニッコリと微笑みながら言われる。
類の瞳は、相変わらずビー玉みたいで、クラクラしちゃう。
「あははっ、類、いつも良く寝てると思うけど‥」
「牧野に会えない時は寝れないよ」
嘘、嘘、花沢の宇治木君が、「うちの専務、何かって言うとお昼寝ですよ」って嘆いてたって言ってたよ。
「あっ、疑ってる?ホントだよ。」
嘘でも本当でもどっちでも良い‥
あたしに会いたい。そう思ってるって事だよね?
どうか、どうか‥あたしの思い違いではありませんように。
類の車に乗り込む。
学生時代とは打って変わって、運転が上手になった類。
久しぶりに助手席に乗った時は、ドキドキしたけど‥スムーズに運転していて驚いた。
2度目のドライブの時は、まさかの寝落ちをしてしまった。
まさか、類の運転で眠れる日がくるとは‥
感慨に耽ってしまった。
3度目のドライブで、眠りに落ちる瞬間、あたしは類の声を聞いた気がする。
「俺を好きになる。好きになる。たまらなく好きになる。」って。
都合の良い夢。あたしはそう解釈した。
4度目のドライブ。あたしはまた都合の良い夢を見る。幸せな夢を見る。
5度目も6度目も‥もしかしてもしかして本当に言ってる?
いやいやそんなワケないか。
だったら 白昼夢??? うーーん それってまずいよね。
妙齢の女性が、白昼夢なんて‥ いやだ‥あたし欲求不満?
だったら、どーんとぶつかっていっちゃう?あたし頑張っちゃう?
頭の中で想像する。
類に、どーんとぶつかるあたしを。
あちゃぁっー 体当たりして謝ってる自分しか想像出来ない‥
って、あたし幾つよ?自分に自分で突っ込みを入れる。
「はぁっー」
何度目の溜め息だろう‥
「つくし先ぱーい、溜め息何度もしてたら幸せ沢山逃げちゃいますよぉー。これあげますから元気出して下さい。」
里ちゃんが、ロイスのチロルをくれる。
「うわっ、何これ?めっちゃ美味しいじゃん」
「ですよねぇー 45円で買える幸せです。」
そうそう。あたしの幸せなんて45円。うんうん。そうよそう。
「って、なに後ろ向きになってるんですか?前向いてどーんと行きましょう。」
里ちゃん、たまに良いこというのよねぇー ウルウルしちゃうね
「うまくまとまったら、チゲ鍋奢って下さいね〜」
そこですね。はいはい。了解了解。
*♪*♪*♪*
「花沢専務‥今日は仕事が詰まってますので、そろそろ起きて頂かないと」
「うーーん、寝れてないから眠くなっちゃうんだよねー」
専務の場合は、寝過ぎで寝れないのでは?‥そんな事は言える筈もなく‥
「ねぇ宇治木はさぁー、恋した事ある?」
「はぁっー。そりゃありますよ。」
「へぇーあるんだ。ねぇ、それでその恋は上手くいった?」
「そりゃぁまぁ」
「そっかぁ、じゃぁ俺の気持ちなんて理解出来ないよね」
って、専務‥ そんな事言って拗ねないで下さい。お願いしますよぉ〜
専務ほどのいい男、女性なんてよりどりみどりでしょうが
「あぁぁー宇治木は良いなぁー 俺、宇治木になりたいかも。」
いやいや、俺になっても専務の思い人とはカップルにはなるわけじゃないですよ。
専務は、雑誌を捲りながら‥
「ねぇ、その彼女って、AIRの会社の子だったよね。里ちゃんだっけ?」
アレッ?俺言いましたっけ?いや言ってないような気がするんすけど‥
うーん でも専務が聞いてくるって事は、俺言ったって事だよな。
「はい。そうです。」
「へぇーやっぱり、そうなんだ。」
アレ?やっぱりそうなんだって‥ うーん専務ばっかりは何を考えてるんだろうか。
「じゃぁさ、ディナーチケットあげるからさぁ、彼女にお願いしてもらいたい事あるんだけど」
「あの‥専務、ディナーチケットも嬉しいんですが、この決済書類が終わらないと‥」
「っん? 宇治木が里ちゃんに頼んでくれるなら、すぐ終わらせるよ。」
「だったら、すぐにでも頼みます。」
「ふふっ 持つべきものは頼りになる部下だね。」
*♪*♪*♪*
「つくし先ぱーい」
「っん?」
「会社帰り、ちょっと付き合いません?」
スケジュールを確認する。今日は何も入ってない。
「いいよぉーどこ行く?」
「ハレルのバイキングに行きません?」
「OK、OK」
「じゃぁ、また後で〜」
里ちゃんを待ちながら、雑誌を手に取る。
占いページを見る。なに、なに?
山羊座の今日の運勢は‥
思いがけない所で会った異性は、あなたにとって運命の人。恋の告白されたらOK出すべし。
この恋逃したら、一生一人身なんて事も‥
上手くいったら、沢山甘えて甘えさせましょう。全てが良い方に進みます。
へぇ〜 なんて思いつつ、じっくり読む。
思いがけない所かぁ〜 うふふっ ハレルなんて正しくそんな場所だよね。
まぁ、類が、バイキングなんて来るわけないよね。
1時間後‥
ハレルで、類と宇治木君に会う。
類にはナイショだけど、宇治木君は里ちゃんの彼氏。
アレッ? もしや待ち合わせなんて思ったのだけど、宇治木君が
「あれぇー里美ちゃん。」
なんて驚いている。
あたしの心臓は高鳴る。
類があたしにとって運命の人?
ドキドキしちゃう。
告白なんてされてもないのにドキドキしちゃう。
「宇治木、なに知り合い?」
類が宇治木君に聞いている。
類と目が合う。ドキドキしちゃう。
で、どういうワケか‥
宇治木君と里ちゃんは一緒に帰り、あたしは類の車で海にいる。
類があたしに囁く
「牧野、俺あんたが好きだ。俺と付き合わないかな?」
「あ、あたしでいいの?」
「うん。牧野がいいの」
類があたしの運命の人なんだ。
ボォッーーとなって、ぽっとなって、キスをして、そのまま一夜を共にした。
うんうん。運命の人だからね。この出逢いを逃したらもうないんだもんね。
あたしの彼氏は、甘えん坊の寝坊助で、かまってちゃんの可愛い男♪
「つくしぃ〜 ネクタイ結んでぇ」
ウルウルの可愛い瞳でお願いされる。
「もぉ〜類は甘えん坊さん」
なんて、セリフを吐きながら、ネクタイを結ぶ。
だって、類はあたしの運命の人だから。
願ったり叶ったり、なんでも、どーんと来いだ。
「つくし〜 好きって言って〜」
「類、好き好き好きダーイ好き」
ほらね、こんな甘いセリフだって言えちゃうんだからね。
類の手が背中に伸びて、あたしを抱きしめる。強く強く
クスリッ
宇治木の彼女ありがとう。感謝してるよ。
今度はプロポーズの時にでも活躍してね。
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