白線 5
パートン劇場は続く。
今日のお話は、こうだった。
かいつまんで話すと‥
若き日のパートンは、金塊を掘り当てて、それを資金に沈没船を見つけ出し、お宝どっさり。油田を買って うははっ
これから、エコの時代だから、水素電池の開発に取り組んでるなんていうお話。
この前は、海洋資源開発のお話だったけかな?
その前は、宇宙開発
面白可笑しく話すもんだから、皆パートンが大好きだ。
しかも、パートンなかなかのロマンスグレーだ。
眉尻に深く残る切り傷にも味がある。
パートン劇場が大終焉を迎え、皆が各々の席に帰って行く。
あたしは、パートンと2人で向い合わせて、お酒を酌み交わす。
「yasuに聞いたけど、今週は2回目だって?」
「うん。」
「そうか。またあちら側かい?」
あははっ 雨の日曜日、珍しくお客さんが、パートンとあたしだけで、他の従業員を返して、yasuと3人で、朝迄グデングデンに飲んだ時に話したんだっけ。
「実はね‥…」
夕方、ばったり偶然出会ってしまった事を、パートンに話す。
パートンが、時折相槌を打ちながら、あたしの話を聞いてくれる。
話し終えたあたしの頭を、ポンポンと二つ叩いて大きく笑ってくれる。
「リリスちゃんは、何が嫌なんだい?」
あたしは、爪先を弄びながら
「あたしを一途に愛してるところ」
「ほぉっ~ それはそれは」
「全部捨ててもいいとか言うんだよ?」
「全部って何を?」
「うーーん。全部だって、ぜんーぶ」
あははっ、全部捨てる? あたしの為に?
そんな事させられない。そんな事して欲しくない。
「あちら側は、なんで全部捨てるのさ。」
「あちら側だから。」
「ほぉっ~」
yasuのピアノが流れる。綺麗な旋律が‥
待ち伏せしてるかもしんないから、
yasuの家に泊めて貰おうかなぁ。なんて考える。
「リリスちゃんは、あちら側が嫌いなのかい?それとも好きなのかい?」
パートンが、あたしに問うてくる。
類が‥嫌い? 好き? どっちかじゃなくちゃダメなのかな?
酔いが回ってきた頭で、ぼんやりとあたしは考える。
解ってるのは、あたしは、類に相応しくない。
自分自身を、決して卑下してる訳ではない。
あたしは、真っ当な仕事を持ち、立派に生活を送っている。
自分のお給料で、部屋を借り、ご飯を食べて、お洒落して、ほんのちょっぴりなら贅沢も出来るそんな生活を送っているんだから。
あたしが、類に相応しくないように、
類もあたしに相応しくない。
ただそれだけ。
類は、あちら側の人。
本来なら出会う事も、ましてや交じり合う事もなかった人間。
たまたま、親が無理して入れた高校で、出会っただけの人。
本来なら、口を聞く間柄でもない筈の人。
ピアノの演奏が終わり、yasuが席に戻って来る。
「あらっ、酔っぱらいの出来上がり?」
そんな言葉を夢の中で聞いた気がした。
目覚めたら、yasuの部屋。
朝陽が燦々に差している。
「起きた?」
珈琲片手にyasuが聞いてくる。
「面目ない」
yasuがベットに腰かけながら
「どうせ、泊まるつもりだったでしょ?」
笑いながら聞いてくる。
あたしは、笑って
「うん。」
そう答えた。
yasuの手があたしの髪を撫でる。
真っ白な部屋に、朝陽が燦々と差している。
花瓶に挿したカサブランカが揺れている。
今日のお話は、こうだった。
かいつまんで話すと‥
若き日のパートンは、金塊を掘り当てて、それを資金に沈没船を見つけ出し、お宝どっさり。油田を買って うははっ
これから、エコの時代だから、水素電池の開発に取り組んでるなんていうお話。
この前は、海洋資源開発のお話だったけかな?
その前は、宇宙開発
面白可笑しく話すもんだから、皆パートンが大好きだ。
しかも、パートンなかなかのロマンスグレーだ。
眉尻に深く残る切り傷にも味がある。
パートン劇場が大終焉を迎え、皆が各々の席に帰って行く。
あたしは、パートンと2人で向い合わせて、お酒を酌み交わす。
「yasuに聞いたけど、今週は2回目だって?」
「うん。」
「そうか。またあちら側かい?」
あははっ 雨の日曜日、珍しくお客さんが、パートンとあたしだけで、他の従業員を返して、yasuと3人で、朝迄グデングデンに飲んだ時に話したんだっけ。
「実はね‥…」
夕方、ばったり偶然出会ってしまった事を、パートンに話す。
パートンが、時折相槌を打ちながら、あたしの話を聞いてくれる。
話し終えたあたしの頭を、ポンポンと二つ叩いて大きく笑ってくれる。
「リリスちゃんは、何が嫌なんだい?」
あたしは、爪先を弄びながら
「あたしを一途に愛してるところ」
「ほぉっ~ それはそれは」
「全部捨ててもいいとか言うんだよ?」
「全部って何を?」
「うーーん。全部だって、ぜんーぶ」
あははっ、全部捨てる? あたしの為に?
そんな事させられない。そんな事して欲しくない。
「あちら側は、なんで全部捨てるのさ。」
「あちら側だから。」
「ほぉっ~」
yasuのピアノが流れる。綺麗な旋律が‥
待ち伏せしてるかもしんないから、
yasuの家に泊めて貰おうかなぁ。なんて考える。
「リリスちゃんは、あちら側が嫌いなのかい?それとも好きなのかい?」
パートンが、あたしに問うてくる。
類が‥嫌い? 好き? どっちかじゃなくちゃダメなのかな?
酔いが回ってきた頭で、ぼんやりとあたしは考える。
解ってるのは、あたしは、類に相応しくない。
自分自身を、決して卑下してる訳ではない。
あたしは、真っ当な仕事を持ち、立派に生活を送っている。
自分のお給料で、部屋を借り、ご飯を食べて、お洒落して、ほんのちょっぴりなら贅沢も出来るそんな生活を送っているんだから。
あたしが、類に相応しくないように、
類もあたしに相応しくない。
ただそれだけ。
類は、あちら側の人。
本来なら出会う事も、ましてや交じり合う事もなかった人間。
たまたま、親が無理して入れた高校で、出会っただけの人。
本来なら、口を聞く間柄でもない筈の人。
ピアノの演奏が終わり、yasuが席に戻って来る。
「あらっ、酔っぱらいの出来上がり?」
そんな言葉を夢の中で聞いた気がした。
目覚めたら、yasuの部屋。
朝陽が燦々に差している。
「起きた?」
珈琲片手にyasuが聞いてくる。
「面目ない」
yasuがベットに腰かけながら
「どうせ、泊まるつもりだったでしょ?」
笑いながら聞いてくる。
あたしは、笑って
「うん。」
そう答えた。
yasuの手があたしの髪を撫でる。
真っ白な部屋に、朝陽が燦々と差している。
花瓶に挿したカサブランカが揺れている。
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