明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

白線 10

赤いロメオは、真っ青な空の下を走る。
高速で2時間半。都会の喧騒を離れ軽井沢につく。

「うーーーーん」
大きく大きく息を吸う。
yasuが後ろから あたしを抱きすくめて。
「元気でた?」
そう聞いてくる。
「うん。」
「よーし、じゃぁ先ずは、どこ行こうか?」

後ろに立っていたみっちゃんが
「あっ、じゃぁプリンスショッピングに。」

木曜日の軽井沢は、ゆったりとしている。
3人で、ウィンドショッピングを楽しむ。

yasuは、あたしとみっちゃんを着せ替え人形にして、ジョゼフで一通りの服をプレゼントしてくれた。
不思議な事に、yasuからのプレゼントは素直に貰える。
まぁ、頑張れば買えるようなものをくれるからって言うのもあるのだろうけど。
これもyasuマジックなのかな。相手が負担に感じないギリギリの所での贈り物。
心に残る贈り物を、自分も相手も楽しみながらくれる。

駐車場に向かいながら‥
「yasuありがとう」
ありがとうの言葉と共にyasuの頬にキスをする。
yasuは、笑ってあたしの頬にキスをする。

みっちゃんが、あたしとyasuに抱きついて
「2人でずるい」
と言いながら、拗ねた真似をする。
みっちゃんを追いかけて車に乗り込む。


**

花沢プロデュースのオーベルジュを出す事が決まり、その打ち合わせに軽井沢に来ていた。
つくしと良く似た女性を見かけた気がした。
まさかいるわけがない‥ 
目を凝らす‥ 美しい出立ちで男に抱かれ、笑い合う姿を目にする。

商用相手に話しかけられ、返事をした一瞬の間に、二人を見失った‥

東京に、会社にいる筈のつくしが、こんな所にいるわけないと首を振る。打ち合わせ中も色々な事が頭を巡る。
見間違いだと、自分自身に言い聞かせる。
‥だけど、つくしは昨晩も家には戻っていない。

怒られるかもしれないけれど‥そう思いながら‥つくしの番号をタップしていた。
呼び出し音が鳴る。つくしは出ない。

♪♬♪♬ 
着信を告げる音がする。この音は類の音。無視をしていたら永遠になり続けそうな勢いで、なり続けている。

「はい。」
「つくし‥ごめん。」
「なに?」
「明日の約束、今日じゃダメかな。」
「無理。」
「何時になってもいいから‥」
「だから、無理。」
「なんで」
「しつこいなぁ、軽井沢に来てて、今日は泊まって行くから。これでいい?」
それだけ言って、無音になる。

軽井沢にいる? つくしが? 誰と? さっき見た男と?
俺の頭に、つくしの肢体が浮かぶ。
白い素肌が‥逝く時の表情が‥声が浮かぶ‥

今あんたは誰と何をしているの? 

俺の心に、また一つ嫉妬の炎が生まれる。

はぁっーー 大きな溜め息を一つ吐く。

嫉妬の炎で時折焼き尽くされそうになる。
だけど‥俺は、あんたを手放せない。
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