明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

白線 28

やさぐれ月曜日から、波乱含みの月曜日になって、それは週末まで続いて‥
社員寮だと言われ、楽々パックでいつの間にか引越しまで完了していた、怒濤のように過ぎ去った1週間。

ファインマン本社は、驚く程に風通しの良い職場だ。雑事ではなく仕事に専念出来る社風だと言った方が良いのだろうか? 連帯感はあるのに、上下のしがらみがない。お互いにお互いがリスペクトしあっている。
京極さんしかりで、上に立つ人間の器のなせる技なんだろうなと。感心しきりだ。

だけどだ、だけど‥ 休み時間になる度に
「どうどう?そろそろ俺に惚れた?」なんて耳許に囁いていくのは辞めて頂きたい。
ったく‥ だけど憎めないのは、仕事関係には誠実だからだろうか?

出来る男で、ハンサムで、裏表のない見たまんまの人間なので、老若男女問わずにとても人気がある。
それなのに、あからさまに贔屓されているあたしに、意地悪をしたり言ったりする人間がいないのだ。
スケコマシの癖して、どうやら人柄はいいらしい。

「牧野さん」顔を見る。あっ、真面目モードだ。この顔付の時は、仕事の話。
「牧野さんフランス語出来たよね? すげぇ申し訳ないんだけど、今夜、オープニングレセプションに付き合って欲しい。」そう頼まれる。あと数時間で終わると思っていた週末は、まだまだ続く。
自宅に衣装を取りに戻って、ただ今ヘアーメイク中。

迎えに来た京極さんが
「おっ、牧野さん着物似合うじゃん」嬉しそうに目を細める。
桜の時期ならではの枝付き桜の訪問着。yasuがあたしに寄越したお気に入りの一枚。
「ありがとうございます」素直にそう微笑む。

京極さんの足元を飾るのは、コルテのドレスシューズ。ビスポークなんだろか?じぃっと見つめてしまった。
「どうした?」
「それって、ビスポークしたんですか?」
「俺の趣味だからね。その代わり大事に履くよ」にっこり笑う。この人が嫌味に感じないのは、こんなところなのだろうと感じる。

レセプションパーティ会場に入る。視線を感じ振り向くと、類が美しい女性を携えて立っている。
悪い事などしていないのに、居たたまれなさを全身で感じる。一瞬よろけそうになったあたしの腰を京極さんが抱きよせ。「どう俺に惚れた」ニッコリ笑いながら、あたしの耳許で囁く。
クスリと笑って「バカか」そう囁き返すと、嬉しそうに微笑みかえしてくれる。

類があたし達に声をかけて来る「京極さん先日は失礼致しました。隣にいるお嬢さん、先日の方とご一緒なんですね?私にも紹介して頂けませんか?」感情を現さない瞳であたしを見ながら。
「花沢さんが、私のパートーナーに興味をもたれるなんて珍しいですね」ニコヤカにだけど、どこか不敵に京極さんが類に言う。
「そうですかね?先日もご一緒されていたから、余程親しい方なのかと思いまして」 
「親しくなりたいと、思ってる女性ですかね?うーーんただ今口説き中かな?‥ねっ牧野さん」後ろを振り向き、私に笑いかける。
刹那‥
ビー玉色した類の瞳が昏く光る。


居たたまれなくて、爪を見る。あんなに綺麗に見えた白のグラデーションネイルがどこか淋し気に感じる。
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