明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

白線 30

類の昏く光る眼があたしを射抜く。身が縮こまる思いがするのに、あたしの中にぞくぞくとした、快感が沸き上がる。
昏い闇を感じて、劣情を感じるなんて…あたしは、狂ってる。
違う…これが、正しい肉体関係者の姿だ。

くくっ、余りにも滑稽であたしは、笑う…

刹那
「ふざけないで」類の尖った声が する。


冷たく尖った声に、類の激情を感じ、あたしの身体をぞくぞくする快感が貫く。あたしは狂っている

自分の欲情が、可笑しくて…あたしは、クスリと笑う。
「笑うな…」あたしを一瞥しながら、類が発する。
チラッチラッと、あたし達を見る視線を感じる。
止めて…騒ぎになれば、あたしは貴方に会えなくなる。

「大きな声を出さないで…」あたしは呟く。
我にかえった類が、「ごめん。」小さな声で呟き、「あとで待ってる」そう言い残して去って行く。

あたしは、化粧室で紅を引き直す。
LINEが入る。
必ず来て。来ないならあんたの画像バラまくから。

スクロールして、画像を見る。あたしがアイマスクをして淫らに悶えている姿がそこには映っている

こんな画像をなんの目的で撮ったのだろう?類も、狂っているのかもしれない。
LINEの画像を消去して、会場に戻る。

輪の中心に居た、京極さんがあたしを見つけ、手招きをする。爽やかな笑顔を放ちながら。
京極さんが手を差し伸べてくる。あたしは彼の手を掴む。

「具合は大丈夫?」京極さんが耳許で囁く。
「えぇ‥ ただ、少し用事が出来てしまったので、もう少ししたら、お暇(いとま)しても大丈夫ですか?」
「うーん、ダメって言いたい所だけど、もう挨拶周りも終わったから大丈夫だよ。ただ、残念だな~俺、この後、君を口説こうと思っていたのに」戯けながらそんな事を言う。
笑うあたしに
「本気だよ。出来たら肉体関係者じゃなくて、恋人になりたいと思ってるよ。」
耳許に囁いて、そっと耳朶にキスを落とす。
「お上手なんですね」そう返すと
「やっぱり、牧野さんだね。じゃぁ、日曜日の時間はあとで連絡するね。」
片手を上げてスマートに、皆の輪の中に戻って行く。

クロークで、預けていた荷物を受け取り、タクシーを拾う。

類のマンションの住所を告げる。
窓にもたれ掛かり、外を見る。
道路には、白線が引かれている。あちらとこちらを分ける白線が

あたしと類の間には、白線が引かれている。明確な一本線。手を伸ばせば触れられても、あたしと類の間には、白線が引かれている。

類は、あちら側の人間。あたしとは違う人間。もうそろそろ、タイムアウトなのかもしれない。
だけど、あたしは願う。もう少し、もう少しだけ、一緒にいさせて下さいと。

エントランスにタクシーが着く。
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