おそろいのパジャマ 後編 類つく空色様
何だか、幸恵さんみたいに優しくて柔らかくて、
泣きそうになったっけ。
同じく、別のシャワー室から出たらしい花沢 類とばったり出会し、
二人して、赤面したっけね。
色も形も、全く同じ…。
おそろいのパジャマだった。
あの時のパジャマを準備して、
お気に入りのソファーの上で眠たそうにしている彼を、
お風呂場に押し込んだ。
バスタオルを頭から被って出て来たのを横目で確認して、
私もお風呂に。
さて、どんな顔して出迎えてくれるだろうか?
覚えてるだろうか?
忘れちゃったかな?
あの雨の日の出来事は、
冷たくて、びっくりして、優しくて、柔らかくて、
ほんの少し泣きそうになる思い出だよ?
「あぁー、気持ちよかったぁー。」
ミネラルウォーターを片手にソファーに深く座っていた彼が、
驚いた顔で姿勢をただした。
珍しく固まってる彼の隣に腰を下ろして、
飲みかけのミネラルウォーターを取りあげ口にする。
「…ま、まき…の…。」
「思い出した?」
「う……ん。」
「なつかしいね?」
「うん……。」
「あの時は、こんな風に隣に座るなんて、思いもしなかったね。」
「………………」
「幸恵さんが、大切に仕舞っててくれたみたい。」
「うん。」
「ふふ…、なあに?うん。ばっかり。」
「うん。」
「ぷっ、ほらまた。」
何時になく、頬まで染める花沢 類と、
「照れるけど、嬉しいね。」
って、あの時みたいに二人して赤面して、少し泣きそうになって、
そして、笑い合った。
あの時、幸恵さんは、今日こんな風に二人でパジャマを着て、並んでる姿を想像してたのかな?
もしかしたら、私達を最初に見つけてくれたのは、彼女だったのかな?
………そんな風に思った。
おそろいのパジャマ姿で、自撮りした写真を添付してメールを送った。
To.幸恵さん
…………似合う?
………From.類&つくし
………………by空色
- 関連記事