白線 40
「さてと、今度はリリスの番だよ」そう言って微笑む。
あたしは、全てを話そうと決意する。
大きなカップ2つに、ココアを入れる。
甘いココアは湯気を立てている。甘い湯気は、なんだか幸せな気分にさせてくれる。
ブランケットを持ってカウチに腰掛けて、2人で一枚のブランケットに包まりながら、あたしは話す。
あたしの恋物語を。幸せだったあの頃の事も引っ括め、あたしは話す。
「あのね‥‥」ビー玉色の瞳を持つ王子に恋をした話から始める。
静さんや、道明寺の事も話した。
道明寺との別れに傷ついて、友人の、類の、全てのものの前から姿を消した事、
類があたしを見つけてくれた事、あの大雪の日の事。身も心も一緒になれて嬉しかったんだと話す。
「でもね‥あたしの人生、幸せは多く続かないの」花沢の秘書の茜さんから連絡を受けた事を思い出す。
小切手を差し出され、性欲処理だったらOKだと言われた事。
惨めなのに心が壊れてしまいそうなのに、その申し出を受け入れた。そんな事を話す。
「どうせならお金使っちゃえば良かったのに~勿体ない」yasuが言う。
「使ったよー、募金したもん。あはっ、一生分の募金かな?」
「たしかに」
yasuと顔を見合わせ笑いあう。
性欲処理だと言われても、類と会いたかった。共に過ごしたかった。そんな告白をする。
そんな生活が1年を迎えた頃、yasuに出会ったんだよ。そう話す。
「yasuは、いつもあたしに命の恩人だと言ってくれるけど、あたしの心を救ってくれたのはyasuだよ」
少し照れたように、笑いながら髪を梳いてくれる。優しい優しい優しい手つきで。
スマホのコール音が鳴り響く。
何度も何度も鳴り響く。画面を見ると京極さん。
あぁ、明日の約束の確認電話だと思い、yasuに断りを入れて、電話にでる。
流石に、明日出掛ける元気はなくて、体調不良を理由に断りを入れる。
彼は明るい声で
「じゃぁ来週末は、ディナーに付き合ってよ」
そう言って電話を切る。
電話を終えたあたしが振り向くと、ワインを抱えたyasuが立っていた。
トクトクトクと音をたて、グラスに、ワインが注がれる。
チーン 2人でグラスを重ね合わせる。
「何に乾杯?」
「哀しい事を笑顔で話そうとする、愛しいリリスに乾杯」
その一言に、あたしは泣き崩れる。
yasuに抱かれ、泣き崩れる。
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