白線 47
「お、鬼?」
「あははっ、それが君の雇用者に対して言う言葉かね?」
yasuが、つくしの2年を私に頂戴と言ってから‥あたしは、ファインマン会長パートン・ファインマンの下で働いている。
流石に、カトリック信者の多いここNYで、リリスを名乗るのはと言う事で、リリィと呼ばれている。
驚く事に‥パートン劇場で語られた物語は、全て本当の事で‥‥
yasuに来ていた人達は、それを全て知る人で‥知らなかったのはあたしだけ‥
「会長、これ‥間違ってますよ」
「っん?どれどれ‥おぉ本当だ、リリィ随分としっかりしたな」
あたしは、得意気に笑う。
「うーん、リリィが貴志の嫁になってくれたらなぁー」
「あははっ、無理です。無理。あたし他の女性に刺されたくありませんし」
「うーん、よっちゃんも喜ぶと思うぞ」
「うーーん。それは魅力的ですが‥命が惜しいので」
よっちゃんと言うのは、パートン会長の奥様の蓉子さん。
奥様と言っても‥日本本社の社長も兼ねているのでとても忙しい。
京極さんのお母さんで、yasuの名付け親で、親友で、
yasuを、ううん百合亜さんを陰ながらずっと見守って来た人だ。
「yasuも、一時はリリィに誰か居ないかと言っていたのになぁー」
「って、それで、あたしの元居た会社を‥本社合併ですか?」
「いやいや、あそこは順調に売上げを伸ばしておるよ」
あははっ‥否定しないんだ。
パートンの手腕は、本当に凄いと感心しきりだ。
「じゃ、和也はどうじゃ?」
「和也さんとですか~?もっとあり得ないです。刺されるの3回じゃきかないと思います」
うーん、僕の息子達はモテナイねぇ~と、両手をあげたジェスチャーをする。
いやいや、モテ過ぎてるかと‥
時計を見る‥
「今日は、定時で上がりたいので、ちょっとお静かにお願い出来ますか?」
「おっと、これは失礼。そうか、今日はyasuが来る日だったね」
「はい」
あたしは、元気よく返事をして、残りの仕事に精を出す。
うーん、終了と思った瞬間。
ぽっぽっーぽっぽーと、今時珍しい鳩時計が5時を告げる。
おっ、時間ぴったり♪こりゃぁ幸先良いやねなんて思いつつ席を立ち挨拶をする。
「会長、失礼致します」
「うん。今日は来るんだよね?」
「はい。yasuを受け取り次第」
「あっ、車使って行きなさい。yasuがまた迷子になったら大変だから」
「はーい」
空港でyasuを待つ。今か今かとyasuを待つ
美しい青年と美しい淑女のカップルが見える‥
「yasu~~ みっちゃん 」
あたしは大きく大きく手を振る。
「リリィー」
yasuとみっちゃん2人の声がする。
「みっちゃん元気だった?疲れたでしょ」
「元気元気。リリィも元気だった?」
「うん。yasuは、責任もってお預かりしますので~ノエルと楽しんできてね」
丁度、ノエルが到着したようで、挨拶もそこそこに、みっちゃんが走って行く。
「じゃぁ、リリィあとは宜しく」
そう言い残して‥
「yasuさん、リリィちゃん」
ノエルが、可愛らしく手を振っている。
2人で手を振り返す。
「リリィ、ただいま」
yasuが大きく笑う。ビー玉色した美しい瞳で。あたしの大好きな瞳で。
「yasuお帰り」
あたしも、大きく笑う。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥