白線 50
猪突猛進するブルドーザーのように、
あたしは突き進む。類を手に入れるため。
1年半、死にもの狂いに働いた。
最初は類を忘れる為だった。
yasuに抱かれ、パートンの下で働き、あたしはあたしを取り戻して行った。
自分を取り戻した時、やっぱり類が好き。そう思った。
モノクロの世界に色が戻った。あたしは幸せに包まれた。
これからの半年は、幸せを手に入れる為の正念場だ。
神経を研ぎすませろ。
意識を集中させろ。
あたしはあたしに言い聞かせる。
人生は、決断の連続だ。欲しいか、欲しくないか。
身の回りをシンプルに纏めるんだ。
本当に欲しいものなど幾つしかないのだから。
どうしても欲しいものには、強欲になれ。
それ以外には、無欲になれ。
* *
世界は、モノクロで出来ている。
ずっとずっと、モノクロの中で生きてきた。
色があるのは、つくしあんたの傍でだけだった。
あんたが消えて、寂しくて、寂しくて‥繭の中に自分を沈めた。
幾重にも幾重にも重なった糸の中は、何も考えずにいれば良い。
漂いながら、残された人生を、ただ坦々と消化すればいい。
もう目覚めたくなかった。目覚めなくてもいいと思った。
ただ、流されればそれでいい。
そんな時、俺の胸に‥あんたの声が蘇った
「あたしは、イブにはなれない。あたしは、リリスだから」
ククッ、あんたらしい‥声を出して笑った。
一頻り笑った後、俺はあんたの全てを思い出していた。
初めて出会った時のあんたまで。
心がほんのり温かくなる。俺は呟く
「あんたをイブなんて、思った事なんてないよ‥」
ねぇつくし、俺さぁ、あんたをもう一度手に入れるよ。
あんたが嫌だって言っても、あんたを振り向かせるよ。
だって、俺もアダムにはなれないからね。
気持ちが決まった瞬間、世界に色が戻る。美しい調べが戻る。
俺は、動き出す。つくしとの未来をこの手に掴む為に‥もう諦めない。
京極に、電話を入れる。
「あぁ俺、うん。お願いするよ。あぁ‥宜しく頼む」
俺は、京極と共に動き出す決意をした。
あと、半年もすれば何とか形になるだろう‥
準備は、慎重に。足元を掬われるわけにはいかないから。
正直な気持ち‥花沢を離れた俺は、いったい何が出来るのだろう?
全てを諦め生きてきた俺に、何かを成し遂げることなんて出来るのだろうか?
‥そんな思いが去来する。
だけどさぁ、よく考えたら、今の俺に失って怖いものなど何もない。
何も出来ずに立ち止まっても、失敗しても、ただ単にもう一度やり直せばいいだけだ。
そうだろう、つくし?
つくし、あんたを思うと、俺、何にでもなれそうな気がするんだよね。
人生はシンプルに生きる。それが大事なんだよね?
俺さぁ、あんたが横に居てくれれば、それだけでいいや。
あんたを求めて失うことを恐れてた。生きていけないそう思ってた。
恐れは、何も生まないし、何も発展もさせない。
だから俺は恐れるのを辞める事にしたんだ。
失ったら、取り戻せば良い。何度でも。
だってさぁ、変わりものの俺を幸せに出来んのって、あんたぐらいしか居ないでしょ?
素直じゃないあんたを、幸せに出来んのも俺ぐらいでしょ?
だよね?
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