白線 51
「あぁ」
京極が小さな声で呟きながら笑う。
「色男3人つぅのは、様になるもんだな」
「類も、笑顔つくれよ」
「…あんたら、五月蝿い‥」
新会社設立の挨拶が始まる。
R.H.M company
俺達の会社の名前、R.H.Mは、Rotala hippuris Makino ミズスギナの名称から貰った。
ミズスギナは、湿地に生えるツクシの仲間だ。
『代表取締役社長から、一言お願い致します』
そう促され、挨拶をする
「この度は、R.H.M company 新会社設立の発表会見にお越し下さいましてありがとうございます。ただ今ご紹介に預かりました、花沢類と申します‥」
フラッシュが、一斉にたかれる。
会社設立の経緯、概要が説明される。ファインマンと、Lys 二大大手の共同出資の会社。
質疑応答が始まる。
「花沢氏は、花沢物産専務を兼任という形になられるのですか?」
「今回の設立には、花沢物産は関わっていないのでしょうか?」
質問が飛び交う。
美しいと言われる微笑みを一つ入れ、
花沢物産専務は辞任をした事、今回の設立に関して、全くノータッチである事を返事して、会見を締め括った。
3人並び、写真を撮られる。
「明日の一面トップは、3人画像がいいよなぁ」
和也が耳許で囁けば
「類一人に、美味しいとこ取りは、させられないよな」
京極が言って、俺は、苦笑する。
撮影が終わると、今回の陰の功労者であるミシェレが、俺ら3人を迎え入れる。
「お疲れ様でございます。お三方とも、次回は、もう少し自然な感じでお笑い下さい」
綺麗な顔で微笑みながら、ちくりと皮肉も忘れない。
「パートン会長、Lys会長、両名様がお待ちです」
やり手秘書‥俺ら3人は、頭が上がらない。
「概ね、好評だったかと思われます。特に花沢代表の受け答えは完璧だったかと思われます」
「おっ、それって類に甘くないか?」
「俺もそう思う」
「‥‥あんたら、本当に五月蝿い‥少しは静かにしなよ」
ごちゃごちゃ2人で言いながら、後を付いて来る。
ったく、本当に五月蝿い奴らだよね。
だけど‥2人には感謝してもしきれない。
口が裂けても言わないつもりだけれど、コイツ等2人には、心底感謝してる。
「なぁ、類、全部解ってるからな」
「あぁ、全部な」
後ろで、したり顔で頷いてやがる。
「…あんたら、本当に五月蝿いから…」
後ろから、ゲラゲラ笑う声が聞こえる。
ドアをノックする。
「どうぞ」中から、パートン会長の声が聞こえ、ミシェレが、ドアを開けてくれる。
ソファーに、パートン会長と、Lysの会長が座っている。
2人が立ち上がり、俺ら4人を出迎える。
初めてお会いするLysの会長は,何故だろう?どこか懐かしい気がする。
とても良く知っているような‥そんな気がする。
静寂を破って、
「あれ、リリィは?」
「あぁ、宣誓布告に出掛けおったよ」
へぇー やら、おぉやるじゃん なんて言いつつ笑ってる。京極も、笑ってる。
リリィ? 誰だそれは? 京極と和也の顔を見る?
京極がゆっくり目をそらす。
和也は、慌ててミシェレに声をかけている。
何か隠してる? 問い詰めようとした瞬間‥
ドアを叩く音がした…返事も待たずに、ガチャリと、開く音がする。
誰? そう思ってドアを見る‥
慌てた様子の女性が
「あっ、ごめんなさい‥あれ?‥」
ミシェレが、慌てて奥から出て来て
「ノエル、ここであってるよ。あれ?リリィは、まだ?」
「あーそうだよね、‥それがそのぉ‥あと1時間ほど待って欲しいって‥」
*Rotala hippuris Makino ミズスギナ
牧野富太郎氏が1898年に発見した。日本固有種
牧野つくし って、ここから つけたんでしょうかね?
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