白線 52
うーーん。大きく背伸びを一つする。
ベッドから飛び降りて、シャワーを浴びたら、トワレをつける。
yasuの薫りで、あたしの薫り。
素肌にシャツを羽織り、モーニングを頂く。
うーん。今日も元気だ、ご飯が美味しい。
身支度をして、鏡の前で、点検だ。
髪 ヨシッ
メイク ヨシッ
スーツ ヨシッ
ヒール ヨシッ
太陽に向けて、手を広げる‥
ネイル ヨシッ
もう一度、鏡を見て‥
笑顔 ヨシッ
牧野つくし‥完璧だ!
どーんとかかって来い。
いやいや、あたしが行くんだったけ。
yasuが珈琲を飲みながら
「隼人に惚れないでね~」
ジョークなんだか良く解らない野次を投げて来る。
「一緒に行く?」
そう問えば
「うーん。うーーん。まだ勇気が出ない。うーん。うーん」
可愛く唸ってる。
「リリィ」
yasuがあたしを力一杯抱き締めてから、バシンと背を叩く。
「痛っ、yasu力入れすぎっ」
えへへっと笑いながら
「宣誓布告、頑張ってしてきてね」
可愛くウィンクをする。
「うん。頑張ってくる。yasuは、よっちゃんが来るまで部屋で、待機だからね」
「えぇーー まさかのお子様扱い?」
「今日は、流石に迷子になったら困るからね」
「たしかに‥」
yasuともう一度ハグをして、あたしは部屋を出る。
迎えの車に乗り込み、花沢物産に向う。
アポイント2分前
受け付けで、名刺を渡しながら名を名乗る。
「Lys companyのリリィと申します。花沢社長をお願い致します」
「伺っております。ただ今秘書のものが参りますので、こちらでお待ち下さいませ」
にっこり笑って、ソファーに腰掛けて、迎えを待つ。
ブレゲの時計を見る。yasuが貸してくれたお守り。
隼人さんに貰った、大事な大事なブレゲの時計。
5分後、花沢秘書の茜氏やって来る。焦る気配もない。
Lysも舐められたもんだ。チラッと思う。
茜さんの顔が、一瞬、怪訝な顔になる。
「大変お待たせ致しました。社長秘書の茜と申します」
「お約束の時間より3分の遅刻ですね。花沢社長のご指示ですか?」
あたしは、ニッコリ微笑んでそう返す。
「あっ、いえ大変申し訳ございませんでした‥」
慌てて、謝ってくるのを遮り、言葉を返す。
「ご案内頂けます?」
意地悪?
いいや、Lysでも、ファインマンでも、
約束の時間通りに迎えが出ていないなど、あり得ない事だ。
自分で出来ないなら、迎えのものを出せだ。
これが、花沢社長の考え方なら、yasuには申し訳ないけれどガックリだ。
そんな事を思いながら、エレベーターに乗り込む。
遠慮がちに、だが不躾に、ジロジロとあたしを見る。
ふーん、この人、こんな女性(ひと)だったんだ。
じゃぁきっと頭の中は、この女は誰だ?
牧野つくしじゃないのか?で一杯なんだろうね。
まぁ、そんな事はどっちでも構わないけれど、この対応は‥いただけない。
天下の花沢物産社長秘書とあろうものが、いかがなものなんだろう?
「何かついております?そうでないのでしたら随分と失礼な事なのでお辞め頂けます?」
あたしは、茜氏を真っ直ぐに見つめ返す。
茜氏が目を逸し、唇を噛んでいるのが目に入る。
チーン
エレベーターが最上階に着いた。
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