はじめてみよう 7
ナメクジラ‥いやいや、類。
「へぇー匠、宣誓布告?じゃ、やっぱり付き合ってないって事だね」
クククッと楽し気に笑ったあとに、
掴まれた腕を、グイッと引かれ、抱き締められて、口づけを‥‥されって、って?
「って‥な、な、なに?」
「ククッ、匠とお揃い」
妖しく光る綺麗な瞳‥‥昔、この瞳に恋をした。
いやいや、今はそんな事じゃなくって‥
えっ えっ えっ
匠が、あたしんの手を掴み、引っ張る。
「つくしさんは、どっちがいいですか?」
えっ、カエルと、ナメクジラ? いやいや、どちらもあたしの興味じゃないよ。と手を振りながら
「あぁーいやーどちらも‥」
って、いうか?あたし‥この二人にキスされた?って事だよね‥
頬が火照る。多分いま、耳まで真っ赤っかだ。
「あ、あ、あの‥ご、ご、ごめん‥あたし帰ってもいいかな?」
両方から、手を掴まれて‥って‥あたし、囚われた宇宙人状態だ。
二人の間に挟まれて、ソファーに腰掛ける。
ゆったり3人がけのそソファーなのに、何故かキツキツ状態になっていて、窒息状態だ。
こんな事なら、匠に頼むんじゃなかった‥やり過ぎだよ。やり過ぎ。
“あっ、もしかして、これもお芝居?そうか、そうか。うんうん。”
「つくしさん、俺マジですから。芝居じゃないですよ」
スマイルキラーここにありの笑顔を投げて来る。
「俺も、牧野に本気だよ?」
ビー玉王子の微笑みだ。思わず見惚れてしまう美しさ。
見惚れてそうになった瞬間、匠から手を引っ張られる。
「つくしさん、帰ろう‥送ってく」
「匠、牧野は俺のだよ」
「いや、つくしさんは俺のもんです」
へっ?はっ? なにをあんた達は話しているの?
あたしは、誰の物にもならないし、誰の物でもない。
二人の視線があたしに注がれる。
「あんた達2人ともバカなワケ?あたしはあんた達とは付き合うつもりも、あんた達の物にもなるつもりは無いよ」
あたしの剣幕に、一瞬たじろいだ2人の手を払い、あたしは立ち上がり
「そういうワケだから、先帰る‥」
脱兎の如く、バーを出て、タクシーに乗込む。
今度の社宅‥匠はまだ知らないけれど、類は知っている。
このまま、自宅に来られたら大変だ‥
しばし悩んで、電話をかける。
RRRRR
「はーい。あれー牧野—どうした?」
「茜さん、飲みに付き合って下さい」
「何かあった?」
「えぇ‥なんせ人身御供ですから‥」
「‥‥OK‥今、アルズで飲んでるからお出で〜待ってるから」
タクシーに揺られて、アルズに向う。
もとはと言えば、茜さんのせいでもあるんだ。
うん。今日は飲んで飲んで、飲みまくるぞーーーーーー
オォーー

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