はじめてみよう 11

偉そうに、おみ足組んでソファーに腰掛けている類の前に、正座のあたし。

何故に正座？
っん？っん？‥足を崩そうとしたら‥

「きちんと座って」
類の叱責が飛んで、慌てて座り直す。

ヒィッー　怖っ　

座り直しながら、チラッと顔を盗み見る。
相変わらずの美しい顔に、ちょっぴり見とれる。

ハッ　あたし‥見惚れてる場合じゃないぞ。小さく小さく首を振り、意識を戻す。
パブロフの犬状態で、類の顔＝見惚れる　この図式‥
いい加減どうにかならないものかと‥‥思いながら

「ねぇ、あんた、昨日の夜アレから、どこに行ってたの？」

「きっ、き、き、昨日の夜？」
素っ頓狂な声が出て‥　類の顔を見る。

「あんた、昨日帰ってこなかったでしょ。どこに行ってたの？」

「‥‥えっ‥どこって‥」

「ここに戻ってきたの昼頃だったでしょ？」
って、な、なんで知ってるの？　エスパー？

「アローンの専務に送って、貰ってたみたいだけど、どういう関係？　って言うより、昨晩は、アローンの専務と居たの？」
な、な、なんで知ってるの‥？
えっ“　えっ”“”　えぇーー　ど、ど、どう言う事？
あたしの頭は、思考を止める。

シュゥーーーーーーン　　正しくこんな風に音を立て，思考が止まる。
ただ、ただ、呆けた顔で、目の前の男を見る。
ただ、ただ‥呆然と、男の顔を見る。

「っん？なんでわかったかったんだ？って顔だね。簡単だよ、あんたん家を、SPに見張らせてたんだよ」
然もありなんの表情で、そう嘯（うそぶ）く。

異星人？　そうか‥この男は、異星人なのだ。
異星人だから、理解不能のことを色々としてくるのだ。

そっかぁー　うん。そうだったんだ。

だったら、納得だ。この美しい容姿。人間離れしてると思ってたんだよねぇー。
ビー玉色の瞳だよ？　アリエナイっしょ。うん。納得だ。
「あのさ、俺、地球人」
ほら、ほら、テレパシーまで使ってるよ。
すごいねぇー　どこの星の人だろう？海王星とか？うーん。ビー玉星？　ププッ

「ビー玉星なんてないし、テレパシーもないから‥あんたが、ブツブツ言ってんの全部聞こえてるだけだから」
エッ“　えっ‥また喋ってたんだ‥

「ははっ、あんた本当に、ちっとも変わらないね」
「ぁははっ、お褒めに預かりまして‥」
「別に、褒めてないよ」
冷たく言い放たれて、ガックリ落ち込みそうになる。
「それよりも、質問に答えてくんない？なんで、北村専務と二人で戻ってきたのかって聞いてんだけど？」
「そ、それは、泊まらせてもらったから‥」
そう言った瞬間‥部屋の空気が、ピキッーンと氷りついた。
ヒュルリヒュルヒュル　風が吹く
「泊まらせて貰ったって？どう言う事？説明して」
類の尖った声がする。
説明してって‥そのまんまですけど‥なんてことを言えもせず‥口ごもる。

「あんた、北村専務と付き合ってんの？」

類の盛大な誤解に、目が真ん丸になる‥





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