ずっとずっと 40
あたしは、類の見送りをする為に久しぶりに東京に行く。
「うん。気をつけてね。何か困った事があったら必ず連絡してね。困った事がなくても着いたら連絡して」
「もぉー 子供じゃないんだから大丈夫だよぉー 薫心配し過ぎ。」
「ククッ、こないだ奈良で迷子になったのって、しぃちゃんだったよね?」
「あぁーーもう言わないって言ったのにぃー ふんだぁ。薫にはお土産買って来ないからねぇ」
「ゴメン ゴメン でも、東京駅に着いたらメールでも電話でもどっちでもいいから連絡して。あと帰ってくる時間もちゃんと知らせてね。解った?」
「もぉー ホント過保護なんだから」
クスクス笑いながら、連絡するねーと言って出かけたしぃちゃん。
しぃちゃんがたった一晩留守にするだけなのに‥… 僕の心は張り裂けそうになる。
しぃちゃんに出逢ってなかった頃の僕は何をしていたのだろう?
*****
「るーーーい」
小さく片手をあげるビー玉の王子さま
うふっやっぱり王子対決どちらの王子さまも素敵♪なんて思いながら類を見上げる。
「牧野 久しぶり 元気だった?」
「類も元気だった?」
「パパさんもママさんも進も元気にしてる?」
「うん。新しい所で元気に働いてるよぉー 先週パパは京都に来たよ。とんぼ返りだったけどね。」
「そっかー またママさんのご飯食べたいなぁー よろしく言っておいてよ。」
「うん。ありがとうね」
「出発は明日なんだよね?」
「うん。明日の13時45分発」
「やっぱり、類がいなくなると思うと寂しいね。」
「牧野が困った時、俺はいつでも牧野の元に駆けつけるから‥•」
「うん。あたしも類が困ったら駆けつけるよ。」
「おっ、流石大学生になると頼もしいなぁー」
2人同時に笑ってしまった。
RRRR
電話のベルがなる。ディスプレイを見ると 薫からの電話だ。
席を立ち 電話に出る。
「あっ、薫 ゴメン連絡しなくって‥…」
「なんかあったと思って心配になちゃったよ‥…ゴメン出先にまで連絡しちゃって」
「ううん‥ あたしこそゴメンね」
「無事に着いたんだったら良かったんだ。」
「帰る時はちゃんと連絡するから心配しないでね」
「必ずだよ。ちゃんと連絡してね。京都まで迎えに行くから」
「うん。ゴメンね、類を待たせてるから、切るね」
電話を切り席に戻ったあたしに 珍しく類が
「かおるって、前に言ってた子だっけ?」
「‥…う、うん。」
「京都でちゃんと友達が出来て俺も一安心だよ。」
なんとなく後ろめたくなってしまって、
後ろめたい気持ちになった事にちょっと驚いてしまった‥…
皆と落ち合う為に、2人並んでメープルに行く。
先ほどの気分が続いていたのか?
何となく落ち着かない気分になりながらロビーを歩いていると、京会長の奥様が前から歩いていらっしゃる。つぅ爺ズのメンバーは無闇矢鱈に外ではあたしに声をかけないが徹底されているのだが‥ 奥様達はどうなんだろう? あたしはご挨拶をした方がいいのか?しない方がいいのか? 一瞬躊躇う。
「つくしぃ〜」地響きと共に滋さんがあたしに抱きつき、息が止まるんじゃないかと思う瞬間、桜子がいつものようにあたしと滋さんを引っぺ返してくれる。横で優紀が笑っている。 これも一種の様式美?
気が付けば、京夫人は居なくなっていた。
今度つぅ爺に他の方にお会いした時の対応をきちんと聞いてみようと思いながら、ロビーを抜け、類と滋さん桜子と優紀、丁度やってきた西門さん、美作さんと エレベーターに乗りこんだ。
「類君もフランスかぁーーあきら君も、そろそろイタリア?」
「あぁー来年あたりかなぁー 滋も見合い本格的になってきたんじゃねーの?」
「うーーん。そろそろね。桜子のとこもそうじゃないかなぁー」
「ニッシーもそろそろ禅修行?」
「あぁ そうなるかな」
みんなそれぞれがそれぞれの道を歩いていくのだなぁー
何となく寂しく感じながら話しを聞いていた。
「そういえば、牧野お前茶習ってねぇーか?」
唐突に西門さんが聞いてきた
「う、う、うん。」
「やっぱな。西門だよな?」
「そ、そうだけど‥なんでわかるの?」
「俺の事、誰だと思ってんだよ」
「‥…そうでした。」
アハハっ 豪快に笑う西門さん。
「お前、どこの西門で習ってんの?短期間ですげぇー綺麗な所作が身に付いたよな‥」
「坂田蓉子師匠の所で‥」
「あぁーあそこで習ってんのか‥どうりでな。」
「って、前に言ってたかおるちゃんって、もしかして新倉のお嬢さん?」
「う、うん。西門さんよく知ってるね‥」
「あぁー 京都じゃ有名な呉服屋だからな。アパレルの方でも頑張ってる会社だからなぁー」
「そうみたいだよね。」
「お前、相変わらずセレブと縁あるよなー」
「そ、そ、そうかな? そうそう、かおるちゃん西門さんの事滅茶苦茶素敵って褒めてたよ」
「まーなぁ‥」
満更でもない様子でニヤリと笑う。
「じゃあ、京都行った折には、かおるちゃん交えて飯でも食おうぜ」
「う、うん。 でもかおるちゃん婚約者いるからね。」
「アハハっ 門下生には手ぇー出さねぇーよ。って、婚約者って、kAGURAの息子だろ?牧野知ってんの?」
「あっ、うん。京大の先輩なんだ。」
「へぇーーー 京大なんだ。ホントお前セレブと縁あるよなぁーー」
「あっはは‥…」
周りを見回すと
類は自分の壮行会だというのに、相変わらずの寝太郎で、さっきからソファーでうたた寝ばかり。
美作さんは、相変わらずの気配りさんで、場を盛り上げながらシェーカーをふって、T3を盛り上げている。
なんでココに司が居ないのかなー と、ぼんやり考える。
会いたいなぁー‥…
西門さんが ニヤリと笑って
「つくしちゃーーーん 今、司の事考えてただろう」
「ひょっ?」
驚いて飲んでたお酒を吹き出してしまった。
寝てた筈の類は肩を震わせケタケタ笑い、美作さんは「牧野汚い」と、眉を顰め
滋さんは、アハハっと大きく笑い、桜子と優紀が微笑んでいる。
あぁーー あたし、みんなが好きだなぁー
離れていても中々会えなくても、あたしは皆が好きなんだ。
司を愛してるように、皆の事も大好きなのは 至極当たり前の事なんだな。と感じる。
***
青い空に飛行機が飛び立つ‥…
あたしの初恋の人‥…花沢類
いつもあたしを見守ってくれてありがとう。
心配のかけ通しでごめんなさい。
あたしの力になってくれてありがとう。
あたしも類が困った時、力になるからね。
類の幸せを願ってるからね。
また会う日まで元気でいてね
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