君の天使 30 司つく
尾形でも誰でもなくて‥‥トモだった。
「調所会長は、弓道をされるとか?実は私も、弓道が趣味でして‥」
滔々と話しだした。
「ほぉー、それは、それは、弓道は杏奈も中々のもんなんじゃよ。今度是非、杏奈と3人で」
見事に話を変えただけでなく、3人で弓を射る約束までしている。
あからさまに、ホッとした表情を2人同時に浮かべている。
尾形は
「へぇー、杏奈さんが弓道?こりゃまた凄いっすねー」
なんて事を言いながら、デザートをパクツイている。
つくしを見れば、さっきまでの緊張が嘘のように、
これまた幸せそうな顔をして、デザートを食べている。
オレ、つくしのこの顔が好きだ。
「ホント、美味しそうに食べるね」
トモが、愛おしそうに、愛おしそうに、呟いた。
会食が終わりを告げ、つくしは調所の爺様と何やら話している。
一旦、帰りかけたトモが、踵を返して司の前に現れた。
「‥‥どうされましたか?」
「あっ、すみません。きちんとご挨拶していなかったので
」
「挨拶でしたら、先程頂きましたが」
「いえ、取引先としての挨拶ではなく、彼女がお世話になっておりますので」
「彼女‥?」
とぼけた顔で、司が言えば
「えぇ、つくしが、大変お世話になっております」
うーん‥ 中々、踏ん張るね。
さぁ、どう出る司?
「お世話になってるとは、どういった事でしょうか?
失礼ですが、寺沢専務は牧野のご親族かなにかでいらっしゃいますでしょうか?」
ふーん、案外ありきたりな答えだね。
「ははっ、そうですよね。実は、家族になりたいと思っております」
どうやら、爽やかな笑顔で牽制しにきたらしい。
ザ・王子様スマイルを浮かべながら
「ですので、どうぞ宜しくお願い致します。
あっ、彼女には、まだプロポーズしてませんので、
どうぞご内密にお願いしますね。応援宜しくお願いしますね。では」
おぉー、 恋敵ながらあっぱれだ。
シューニャも同じ事を思ったのか、
戯けた仕草で、お手上げだとばかりに、両手を上げる。
司は、しばし呆然と佇みながら、2度頭を振って‥
「寺沢専務」
声をかけた。
まさか声など、かけられるとは思っていなかったのだろう‥
素っ頓狂な顔をして
「はいっ」
なんて答えてる。
シューニャが、両手を握り締め、司を応援してる。
「すみませんが、応援は出来かねます」
「はっ?それはまた何故ですかねー」
顎先を、指で持ち上げてトモが聞く。
「私も、いや‥俺も、牧野を好きだからです」
ヒュッー 司 やるね。
漢だね漢。
「クククッ じゃぁ恋敵ってことですね?」
「えぇ、そうなりますかね」
キッパリはっきり、司が言った。
トモが、可笑しそうに、でも少し遠い目をして笑ってから
「このままだと俺不利なんで、遠慮なく道明寺HDにお邪魔させて貰いますね」
ニッコリと笑って去って行く。
うーん、やるもんだ。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
- 関連記事
-
- 君の天使 33 司つく
- 君の天使 32 司つく
- 君の天使 31 司つく
- 君の天使 30 司つく
- 君の天使 29 司つく
- 君の天使 28 司つく
- 君の天使 27 司つく