君の天使 32 司つく
「それくらいじゃないよ‥」
「決まったわけじゃなかっただろう?
仮にそうだとしても、司さんはつくしさえ居てくれたら良いって言った筈だよ」
「だから‥だから‥嫌だったの」
つくしの身体には、傷がある。
卵巣腫瘍で、卵巣を一つ取った傷だったんだ。
「あたしね、本当は自分が、もっと強いと思ってたの。
でもね、実はコンプレックスの塊だったみたいでね‥」
渇いた笑いをさせながら、つくしは語る。
度重なる貧血の原因が、卵巣腫瘍だったと解って手術が決まった時の事を。
「これで、また一つ釣り合わなくなったんだって思ったら、哀しくなちゃってね」
「‥で、好きな男が出来たから別れてくれって頼んだんだ」
「‥うん‥‥」
「司さんがよく納得したね?」
「反対も、心配事もなくて、順調に進んでた時期だったから‥かな‥
あたしの気持ちも揺るがなかったしね。
卒業の単位も修得したあとだったから、全てを引き払って入院して音信不通にしたから‥」
儚げにつくしは、笑う。
「そんな事でつくしは、司さんを振ったんだ。ふーん。じゃぁやっぱり俺と結婚してよ」
「だから‥トモ‥ちゃんと聞いてた?」
「うん。聞いてたよ。
だって‥つくしは居てくれるんでしょ?
だったら何の問題も無い事だよ」
「問題でしょ。跡継ぎが出来ないって‥」
「それだって、大丈夫だったんでしょ?」
「‥‥うん‥結果的には」
「だったら、余計‥何の問題もないじゃん」
「でも‥‥もし出来なかったら?」
「それでも、つくしが居るじゃん‥」
「‥‥」
「ねぇ、司さんとより戻さないなら俺と結婚してよ」
つくしは首を振る。
「一番はずっと司さんで良いからさ。一度は選んでくれたわけだしさ」
「ごめん…そんなの…‥出来ないよ…」
「じゃぁ、司さんも一緒だと思うよ。
って、言うよりもつくしが結婚してあげなきゃ
彼、きっと一生独身だよ」
「そんなのダメ。道明寺にはちゃんと幸せになって貰わなきゃ。道明寺には温かい家族が必要なの」
「だったらさぁ、つくしが作ってあげなよ」
トモがニッコリと笑って
「じゃないと、俺も‥
あっ、ついでに鷹だって、一生独身貫いちゃうよ」
「なんで、そこに鷹?」
つくしが、くすりと笑えば
「本当に気が付いてなかったんだ?」
トモが、お腹を抱えて大笑いする。
一頻り笑った後‥
「じゃぁさ、賭けをしようよ。
つくしが司さんと1年以内に結婚に向けて動き出さなかったら、
俺と結婚する」
「無理‥ムリムリ」
「俺が嫌だったら、鷹とでもいいよ?」
「もっと無理」
「もっとが付かない分だけ、俺のが良いのかな?ククッ」
トモが優しく微笑んで
「ねぇつくし、司さん‥つくしが結婚してあげなきゃ、本当に誰とも結婚しないよ。
つくしは好きな男が自分のせいで不幸でも構わないの?」
「不幸?」
「あぁ、そうだよ。あっ、ついでに俺もだよ」
トモが、つくしに優しく微笑む。
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