君の天使 33 司つく

オレの目の前に、突然シューニャが現れた‥
って、現れた？

《　どうしたの？　》
《　連れてきたの　》
シューニャが美しくウィンクをして

《　ヒー、フー、ミー　　Go！　》

ガラッ
勢い良く襖が開いた。
立っていたのは、司だった。

驚いて固まるつくしの横を、トモがそっと通り過ぎて行く。
代わりに、司が部屋に入って来て‥何も言わずにつくしを抱きしめた。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと‥何する‥」
「黙ってろ‥」
「ちょっと‥道明寺‥」

ギュッと、つくしを抱きしめて。
「‥ごめんな‥気が付いてやれなくて」

司が涙を一粒零す。

「ごめんな‥ごめんな‥」

男の涙が美しい。
知らないうちに、オレの目にも涙。
シューニャの目にも涙がこぼれ落ちている。

「‥‥‥道明寺‥‥」

２人の唇が合わさった‥‥
お互いがお互いを貪るように合わさった。

シューニャに、両目ウィンクをして部屋を出る。


庭先に、杏奈嬢が佇みながらトモを待っていた。
トモが、現れた瞬間‥
ふわりと、杏奈嬢がトモを抱きしめた。
何も言わずに、抱きしめた。

「杏奈さん‥」
「本当に、これで良かったんですか？」
「うん、有り難う」

トモの答えに、ふわりと微笑んで‥

「ドーンと来いです」

これぞ　ミラクル‥
この言葉、１年前つくしにココで出会った時にトモが、つくしに言われた言葉だ。
この言葉で、トモはつくしに惚れたんだ。

トモの目に、涙の雫がキラッと光る。

「‥ごめん‥俺カッコ悪いよね‥往生際悪いよね」

杏奈嬢は、トモを抱きしめながら
「いえいえ、トモさんは素敵です。それに私は、役得です」
凛とした笑顔でそう答えんだ。

キュンッ
トモの胸が、小さく高鳴った。


ハートがそこいら中に飛んでる？

なんて感じる程に、幸せの風が吹いている。
草も木も花も、お日様も喜んで歌いだしている。

シューニャと言葉が重なる
《《　これがスペシャルミラクルなんだね　》》


ふわぁーーーー　幸せを感じて、なんだか眠くなる。
ほわぁーーーー　

くくくっ　シューニャも眠そうな顔をしている。

２人で微笑む。オレがウィンクすれば
《　スフィル下手過ぎ　》
シューニャが笑って、見惚れちゃうくらい上手なウィンクをしてくれる。

司がつくしの手を握リ締め部屋から出てくる。
っん？どこ行くのかな？

シューニャと２人で車に乗り込んだ。


「ねぇ、それって本気で言ってるの？」
「あぁ、本気も本気だ」
「でも‥ねぇ‥」
「なぁ、俺が不幸になってもお前はいいのか？」
つくしが、大きく大きく首を振る。
「でも‥」
「でもも、だっても、ねぇーよ」
コツンと、指先でおでこを弾いて
「俺がお前じゃないとダメなんだよ‥悔しいぐれぇー牧野お前に惚れてんだ」

つくしの目から、涙が溢れて行く。
ずっと堪えてきた涙が、後から後から溢れてく。

「ど、ど、道明寺‥ぐずんっ‥すんっ‥うぅっっ」
「すげぇ、ブス顔になってるぞ」
「だって‥だって‥だって‥」
「だってじゃない。笑っとけ」

司の胸の中にスポッと抱かれて、つくしが幸せの笑みを浮かべる

２人の間に、幸せな風が吹く。





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