被虐の花 27 あきつく
化粧を落として眠るつくしは、童女のようにあどけない。
白雪姫が眠りから覚めるように、パチリと目を覚ます。
「‥‥あ‥きらさん?‥」
「おはよう」
「‥‥おはようございます‥」
「さぁ、起きてご飯を一緒に食べようか」
「‥‥今日は‥あきらさんと?」
「嫌?」
つくしは、慌てたように首を振る。
身体を起こすのを手伝って、
病室内のテーブルで2人で食事をとる。
ガスパチョに、生ハムのサラダとクロワッサン‥
マンゴーがデザートに並んでる。
「美味しい‥」
つくしの口許に、赤いスープが運ばれていく。
何故かそれが淫らに美しい。
物を食べる行為は、どこか夜の行為に似ている。
マンゴーを一欠片、指で持ってつくしの口許に持って行く。
つくしが、口を開けてパクリと口にする。
「俺にも食べさせてよ」
つくしの指先が、舌に触れる。
朝陽の中のつくしは、イノセントだ。
イノセントなのに、淫らで美しい。
彼女の肌に髪に柔らかな朝陽が、降り注ぐ。
「‥‥キレイだ‥‥」
小さな声で呟けば、あどけない笑顔で振り返る。
「っん?あきらさん‥なぁに?」
その笑顔があまりにもあどけなくて、
誰にも渡したくない‥そう思う。
でも、それじゃいけないんだよな。
手放そう‥つくしの事を
「つくし‥‥屋上にでも行くか」
「はい」
2人で、屋上に行く。
爽やかな風が、吹いている
「なぁ、そろそろ聞かせてくれないか?」
「‥‥なにを‥‥」
「迫田の所について行ったのは自分の意志だろ?」
つくしは、俯いたままなにも話さない。
「隠さなくていいんだ‥
つくしが連絡を取ったっていうのは、もう知っているんだ」
「‥‥あ、あきらさん‥‥ご、ご、ごめんなさい‥あたし‥」
「大丈夫。落ち着いて。責めてるわけじゃないんだ‥‥」
「でも‥‥あたし‥‥」
「うーん じゃぁ、つくしはバカだ」
「‥‥バカ?」
「うん。つくしお前は悪くない。
でもバカだよ。でも‥俺は、もっと大バカもんだ」
つくしが首を振る。
「くくっ、違うって言ってくれるんだ?ありがとう。
でもね‥つくしが追い詰められてる感じがするなら、やっぱり俺は大バカもんだよね」
「あきらさん‥ごめんね」
「いや、俺の方こそゴメンな。
つくしだったら、全部引っ括めて自分のせいにしちゃうってことくらい容易に想像出来てたのにな‥ごめんな」
嫌々するように首を振る
「俺、有頂天になってたんだ。惚れてた女への思いが遂げられて」
「惚れてた?」
「あぁ、ずっと惚れてた。俺を変えてくれるのはお前みたいな女しかいないだろうって、ずっと思ってた。つくしが消えて、ショックだったのは司だけじゃない。俺等みんながショックだったんだ‥‥それが偶然会えて、それどころか‥お前を抱く事が出来てさ‥‥つくしが負い目があって抱かれてるだけだって‥わかってた‥それなのに‥ゴメンな‥」
「あたしは‥あきらさんだったから‥」
「いや、あそこに居たのが、俺じゃなくて‥類でも、総二郎でも‥同じようにしたよ。いいや‥違うか、他の奴らは弱ってるお前を抱かないか‥」
「あたしは、抱いてもらえて嬉しかった‥あの思い出だけで生きて行けると思ったの‥だから、迫田の情婦になろうと思えたの」
「だからだよ‥俺が抱かなきゃ‥バカな考えも沸かなかっただろう?だから‥俺は大バカもの‥‥」
「違う‥あきらさんは‥あたしのあたしの‥」
「シィッ 黙って‥‥」
俺はつくしを抱きしめる。
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